「日本史」がビジネスに欠かせなくなった理由 経済や経営の知識ばかりだけでは通用しない

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そんなビジネスパーソンは通史の代わりとして、まずは教科書や参考書に手を広げている。『いっきに学び直す日本史』の企画・編集をした作家の佐藤優氏は2つの理由を挙げる。「グローバル化によってビジネスの世界でも日本の歴史や文化を説明する必要が生じていること」「歴史から教訓を学びたいという意識が社会に広がっていること」だ。

学び直すなら今です(写真:Ushico / PIXTA)

国際分野で活躍するビジネスパーソンは、英語に堪能で取引相手の国や民族の事情について勉強していても、意外に自国のことを知らず、外国人から日本の歴史に関する質問をされても答えられないケースがある。佐藤氏自身も外務省の研修生として1987年にイギリスに派遣された際、イギリス人から日本の歴史や文化について質問されて立ち往生してしまったことがあったという。

小社が今年3月に出版した『いっきに学び直す日本史』の全2冊もすでに10万部近いセールスになっている。監修者である山岸良二氏(歴史家)が東洋経済オンラインで始めた「ここまでわかった!「日本史」の最新常識」には、数多くのコメントが書き込まれ、読者の関心の高さがうかがえる。

聖徳太子が教科書から姿を消す?

ちなみにオンライン連載の初回は、「あの『聖徳太子』が教科書から姿を消すワケ」で、これまでの歴史研究を下敷きに、聖徳太子の事績を正しく伝えている。この記事を読むと、今の40~50代が、むかし教科書で学んだ聖徳太子の知識はかなり修正が必要になることがわかる。歴史研究が進むと、人物や歴史的事件の評価が変わってくるものなのだ。 

たしかに歴史を知らなければ、文化を説明できないし、将来を見る目も養えない。不確かな時代だからこそ、歴史に関心が向くのだろう。それも事件の年号を覚えるのではなく、何が起こったのかという事実を網羅するだけでも不十分だ。なぜその出来事が起きたのか、結果としてどんな影響があったのかを論理的に説明できるぐらいまで理解してはじめて、身のある知識を身に付けたといえる。

長谷川 隆 東洋経済 記者

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はせがわ たかし / Takashi Hasegawa

『週刊東洋経済』編集長補佐

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