検証・三光汽船 2度目の破綻の真相 海運市況の崩壊で”座礁”

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しかし、三光の取引船主は国内約40社、海外約20社。国内外の多様な関係者をまとめ上げるのは至難の業と誰の目にも映った。恐れていた海外船主による三光の資産(自社で保有する船舶)差し押さえも起こった。積み荷ごと船を差し押さえられ、荷主は積み荷を受け取れない。

それで、ただでさえ信用不安のある三光との取引を控える荷主が続出した。三光の収益は細り続け、船主からの協力取り付けも難航し、結局は法的強制力のある更生法を選択せざるをえなくなった。

85年に三光が最初に破綻したときは、銀行や商社といった体力のある企業の中で問題が処理されたが、今回は違う。相対的に事業基盤の弱い国内の船主への影響がとりわけ心配された。4年も続く超円高でドル収入の船主経営は大打撃を受け、昨年から金融機関への借入金返済条件の見直しが相次いだ。

三光は来年2月末までの更生計画提出を目指し、関係者との調整を急いでいる。再建の柱の一つは逆ザヤ解消。船主への高額用船の返船や用船料の引き下げで、商売道具である船隊のコスト競争力を強化する。

もう一つの柱はスポンサーの選定だ。この二つがそろって、初めて再建は体を成すが、国内外とも海運会社は苦しく、業界内から支援者が現れることは期待しにくい。欧米では疲弊した海運会社に投資ファンドが出資する例が増えている。三光でもファンドが有力候補になりそうだ。

三光が現在目標とするのは、市況商売を減らした安定的な長期契約による事業モデルだ。2度の経営破綻を経てようやく日本スタンダードの海運経営に軸足を移そうとしているといえるが、三光の将来を保証するものは、今日現在、何もない。

(週刊東洋経済11月17日号)

中村 直樹 日刊「海事プレス」編集長
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