ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 1・2 セバスチャン・マラビー著/三木俊哉訳 ~「連続する不連続」を歴史から学ぶ

ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 1・2 セバスチャン・マラビー著/三木俊哉訳 ~「連続する不連続」を歴史から学ぶ

評者 高橋 誠 ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン取締役会長

 著者が3年の歳月をかけ、150人以上のインタビューをもとに書いた原著460ページにおよぶ大著の待望の翻訳である。ジャーナリストである著者は、ヘッジファンドの主要な登場人物とその戦略を歴史的に追いつつ、ヘッジファンドの持つレバレッジ、カラ売りなどの特性を切り口にしてその本質に迫る。その語り口は実に面白い。

ヘッジファンドの創始者のA・W・ジョーンズの戦略に始まり、サミュエルソンが創業支援者となって出資したコモディティズ・コーポレーションの成功、そこでキャリー取引などで稼ぎ頭となった後、キャクストンを起こすブルース・コフナーなど詳細に活写される。

またソロスが雇ったドラッケンミラーがイングランド銀行の介入可能金額を読み、ポンド売り/マルク買いのポジションなどで10億ドル以上の利益を上げたシーンは圧巻である。一方ソロスと並び称されるジュリアン・ロバートソンのタイガーは、華々しい成功の後にITバブルで失敗し、2000年にファンドを閉鎖することになる。運用成績の悪化、解約増加、解約資金手当ての困難さなどその後の教訓にもなる。

ヘッジファンドの多くが採用している戦略にクオンツ戦略がある。中でも理系の博士のみを採用し、株式の価格の動きだけに注目してモデル化し驚異的なリターンを上げたルネサンス・テクノロジーズのような例がある一方、それが流行となり混雑してくると、2007年のようにクオンツファンドに「股裂き」が起こる。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 若者のための経済学
  • 本当に強い大学
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スクープ! 積水ハウス地面師事件<br>「封印された報告書」の全貌

「なぜ積水はだまされたのか」。2年前の地面師グループによる大型詐欺事件。謎を解く同社の内部資料を本誌が独自に入手した。だまされた積水が調査報告書の公開を拒む理由は。取引を承認した役員が現在も要職にある“闇”をいま明かす。