ヘッジファンド 投資家たちの野望と興亡 1・2 セバスチャン・マラビー著/三木俊哉訳 ~「連続する不連続」を歴史から学ぶ
歴史の教訓として、大幅なマイナスや破綻のケースに共通する項目がある。それは当初の成功によって運用する資金規模が大きくなりすぎ、自分が市場となってしまい、ポジションの解消のための売却が困難になり自滅する点だ。ましてやそれが流動性の低い証券に集中している場合、ブローカーからの追い証に対応するための現金化が出来ずに破綻につながる。
著者は、過去に多くのヘッジファンドが破綻しても納税者が負担することは一切なかったこと、ブローカーからの追い証を恐れるためリスク感覚に優れていることから、むしろ規制をしないことがベストというヘッジファンド擁護論を唱える。
投資銀行等に対する規制強化により、優秀な人材も資金も止めどなくヘッジファンドに流れてきているのが、最近の状況だ。グローバル化した経済は、相互のリンケージが必然的にますます強固になった結果、「連続する不連続」の時代に突入した。それに備えるためにも、ヘッジファンドも含めた歴史から学ぶことは重要だ。
Sebastian Mallaby
ジャーナリスト。米外交問題評議会の上席研究員。英オックスフォード大学で近現代史を学ぶ。英誌『エコノミスト』記者として南アフリカのアパルトヘイト撤廃時の取材、日本特派員、ワシントン支局長などを歴任。米ワシントン・ポスト編集委員を経る。
1 楽工社 1995円 304ページ
2 楽工社 1995円 333ページ
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら