吉野家が高価格の「牛焼肉丼」を期間限定で投入。すき家、松屋も脱・値下げ路線にカジ切る
牛丼大手の「吉野家」が、9月13日から「牛焼肉丼」を期間限定で全国発売する。
値段は1杯480円と従来の牛丼並盛り(380円)に比べ、100円高い設定となっている。会見した吉野家(吉野家ホールディングス傘下で「吉野家」を運営)の門脇純孝・専務取締役は「ボリュームを求めるお客様のニーズに合わせた」と説明する。
吉野家が480円という、牛丼としては従来にない高価格商品を出した背景には、足下で猛威を振るう食材価格の高騰がありそうだ。
現在コメの価格は放射能の風評被害なども影響して前年同期比2割ほどの高値で推移している。また牛丼に使うバラ肉(ショートプレート)も、米国産牛肉の輸入規制緩和が想定より遅れていることから、前年同期比で6割以上の高値が続いている。
こうした食材価格の高騰を背景に、牛丼大手3社の第1四半期決算は大幅な減益を強いられた。2009年から業界を席巻した期間限定値下げについても、「すき家」(ゼンショーホールディングス)は前年度の7回から今年度は現時点で1回に、「松屋」(松屋フーズ)に至っては前年度の7回から今年度はゼロにまで減らしている。
吉野家も「何度か繰り返しているうちに効果が漸減した」(門脇専務)としており、牛丼の低価格戦争は終わりを迎えようとしている。