クラウドは、どうマーケティングを変えるか 米国のイベントで明らかになった「最先端」

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基調講演に立つAdobe CEO、シャンタヌ・ナラヤン氏

キーワードは、「エクスペリエンス・ビジネス」。ここ数年間必ずキーワードに含めてきた「マーケティング」という言葉がなくなった。

顧客と向き合い、顧客体験の最大化によってビジネスを革新していくコンセプトだ。アドビのCEO、シャンタヌ・ナラヤン氏は、顧客体験を中心としたビジネスの時代が到来したと指摘し、顧客体験があらゆる側面に影響を与えると説明した。

著名なテーマパークを初めて旅行で訪れようとする人は、そのテーマパークを楽しむだけでなく、情報を調べたり、旅程を予約する過程からからして、顧客体験が始まっている。またスマートフォンと拡張現実を用いれば、服も棚も試着室すらない場所でも、店頭のようにショッピングができる。

エクスペリエンスビジネスについて紹介するAdobeのデジタルマーケティング総括のEVP、Brad Rencher氏

必ずしも、デジタルテクノロジーによって派手な演出で驚かせる必要はない。コンシェルジュのように、ウェブサイトやアプリにアクセスしたら、自分に必要な情報がすでに用意されていて、スムーズに体験をこなすことができることも、重要な要素だ。

たとえば、パソコンで羽田・大阪間の航空券を検索して購入しなかった場合、スマートフォンで再び航空会社のサイトを開くと、羽田・大阪間の行き先と日程が同じように表示される。入力の手間なく、スムーズに購入できるはずだ。

顧客体験を向上させるために、膨大なデータが使われるべきであり、機械学習によるパターンの検出と活用や、パーソナライズ、デバイス間の体験の連続化などに取り組む。そのプラットフォームとして、アドビはマーケティング・クラウドに取り組んでいるのだ。

「顧客へ」ではなく「誰に向けて」

アドビは、2009年にウェブ解析技術の企業Omnitureの買収を行い、オンラインマーケティングの領域に踏み込んだ。印刷からウェブ、ビデオに至るまで、業界標準的なクリエーティブツール群を提供してきた。

これらのツールで作られたコンテンツを用いて、顧客とのコミュニケーションにどのような効果をもたらすか。これを測定し、最適化するためのソリューションを揃えることで、アドビはアプリベンダーから、ビジネスプラットフォームを提供する企業へと進化してきた。

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