NECエレクトロニクスとルネサステクノロジ、破談の危機乗り越えゴールイン...
基本合意から約3カ月。国内半導体大手のルネサステクノロジ(日立製作所55%、三菱電機45%出資)とNECエレクトロニクス(NECエレ)が来年4月の事業統合で正式に合意した。
当初の予定は7月末だったが「互いに自社工場を高く評価するなど、譲り合わない」(関係者)ことも交渉を長引かせた。巨額の負債を抱えるルネサスに、NECエレ幹部は「財務の健全度合いが違いすぎる」と言い、再編費用をにらんだ親会社による増資負担の割合もネックとなった。
8月中旬には交渉打ち切り寸前まで行ったが、損益の振れ幅が大きい半導体事業を放置できない親会社の事情が“婚約破棄”を踏みとどまらせた。結局、統合に際し合計2000億円の増資を行い、日立が825億円、三菱が675億円、NECが500億円を引き受ける。出資比率はNEC33%、日立30%、三菱25%となり、新会社の社長はルネサス社長、NECエレ社長の会長就任が決まった。
追加リストラは必須
だが、先行きは楽観を許さない。新会社の売上高は1兆円を超え国内首位、世界3位になるが、両社は主力のマイコンで競合製品が多い。2009年3月末で合計20ある前工程ラインを今年度中に16に減らす方策も、4月の基本合意以前に各社で計画したもの。両社とも前期は大幅な赤字に陥っており、今後さらなる工場整理や5万人弱を抱える従業員の削減、商流の統廃合が不可避だ。
他の半導体メーカーも次の再編を見据えて動いている。富士通は製造受託最大手の台湾TSMCへ最先端半導体の製造委託を決めた。競争力の劣る自社ラインを閉鎖し2000人の配置転換を推進。国内外で統合先を模索しており「リストラできれいになるので、早く“嫁”に出したい」(加藤一彦上席常務)。当面、独自で半導体事業を立て直す方針の東芝も将来の可能性は否定しない。
合弁会社のルネサスが苦戦してきたように、事業統合で早期に競争力を高めるのは容易でない。ある外資系半導体メーカーの日本法人社長は「親会社の総合電機メーカーに振り回されない経営をすべき」と指摘する。業界では「親が決めた結婚」と揶揄される今回の統合だが、難局を乗り越えられるか。
■NECエレクトロニクスの業績予想、会社概要はこちら
(山田雄大、麻田真衣 =週刊東洋経済)
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