やっぱり本命はGSユアサ、加速する次世代電池開発競争
供給先拡大なら追加投資も 収益メドは流動的
では、肝心の利益成長の確実度はと言えば、そちらは逆に流動的だと現時点では言わざるをえない。
先の新中期経営計画で同社が明らかにしたリチウムイオン電池の事業目標は、最終12年度でも売上高400億円、営業利益10億円。新工場立ち上げ負担が重く、3年後でも利益額はわずかにとどまる。
では、軌道化はいつか。依田社長が本誌に明かした展望によれば、それは15年度、リチウムイオン電池事業の売上高が1000億円を超えたあたりがメドだと言う。三菱自、ホンダとの合弁工場の初期投資負担も一服し、利益率も同社が想定する水準(1ケタ台半ば~後半)まで上がっていると依田社長は期待を寄せる。当面先だが、この見通しに従えば、前08年3月期の売上高対比でざっと3分の1、営業利益対比でもかなりの割合を占める計算となる。
ただ、この目算もあくまで現時点で決まっている計画に依拠したものでしかない。GSユアサ幹部によれば、三菱自動車以外にも、12年ごろをメドに発売される電気自動車の供給に向けた商談を国内外の複数の完成車メーカーと進めているという。それは、さらなる事業拡大をもたらす一方で、追加投資の負担で収益化はさらに遠のく可能性もある。リチウムイオン電池は量産に巨額の製造設備が必要とされる典型的な装置産業。初期投資が大きく早期の収益化が難しい。GSユアサの成否を占ううえで、積極的な投資姿勢を貫けるかどうかも、重要な焦点の一つになりそうだ。
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