やっぱり本命はGSユアサ、加速する次世代電池開発競争
今の状況はジーエス・ユアサ コーポレーション(6674、以下GSユアサ)にとって確かに“異様な過熱”かもしれない。2009年に入り、一躍人々のあこがれの車となったハイブリッド車・電気自動車。そのキーデバイス、リチウムイオン電池の生産を担うGSユアサも脚光を浴び、株式市場では連日の大商いが続く。PERも120倍を軽く上回る。
しかし、それは決して実態を欠いたバブルではない。中長期的に世界で厳格化される自動車のCO2排出規制は、ハイブリッド車などの生産を確実に増大させる。問題はGSユアサがその恩恵をどの時期にどれだけ享受できるかだ。
すでに同社は、自動車用リチウムイオン電池を次なるコア事業と位置づけ、乾坤一擲の投資姿勢をとっている。5月に発表した10~12年度の新中期経営計画では、年間平均で250億円の設備投資を表明。これは昨年までの2倍以上。かつその約7割をリチウムイオン電池の増産に振り分ける計画だ。
その決断には、実際にビジネスが進捗している背景がある。GSユアサは三菱自動車、ホンダの2社と合弁を作り、電池の安定供給先をがっちり確保している。三菱自動車とは、すでに両社の合弁を通じて電気自動車「アイ・ミーブ」向けリチウムイオン電池の生産を開始。09年度こそ年2000台分にとどまるが、3年後の12年度には仏PSAプジョー・シトロエン向け「アイ・ミーブ」OEM供給も加わり、年3万台へと拡大する。
さらに、三菱自動車が開発中のプラグインハイブリッド車向け電池供給も期待される。ホンダとも今年4月に電池の製造合弁を設立、10年秋の稼働をメドに京都府内に新工場を建設中だ。供給車種は10年度以降投入を計画するハイブリッド車種に加え、開発がうわさされる電気自動車向けもありうる。