修羅の人間学 竹内一郎著
修羅といえばやむことのない戦いを想起させるが、革命家・勝負師・政治家・芸術家・芸能人・俳人・役者、計14人の極度に個性的な生き様、そして常人ならざる戦いと執念を、意外性に富んだ視点で切ってみせたユニークな人物論である。
ゲバラがいて阿佐田哲也がいて山頭火がいる。かと思えばピアフやモンローが登場する。そんな男女の生涯を追い、人間性を解剖してみせるが、みな異質でありながら「妥協」がないところは共通している。
著者のキャリアが人物論に色濃く反映しているところが、本書を面白くもし深みを与えてもいる。表面的な人物評に終わらせていないのは、自らの体験を踏まえて対象と格闘した所産であるからだろう。中でも升田幸三、黒澤明、岡本太郎、藤山寛美にとりわけ興味をそそられたのは、著者の挫折の前半生、マンガ原作者および芝居の演出家としての苦闘が語らせた文章のなせる業かもしれない。(純)
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