9日午後、長期金利が史上初のマイナスに マイナス幅は一段と拡大する可能性
8日の欧米債市場が堅調だったことも円債金利を押し下げた。ユーロ圏金融・債券市場は、世界経済の成長率鈍化懸念や欧州金融部門の健全性をめぐる懸念から、安全とされる資産に資金が流れた。
ドイツ10年債利回り<DE10YT=TWEB>は0.23%と昨年4月以来の水準に低下。米10年債利回り<US10YT=RR>も一時、1年ぶり低水準となる1.735%まで低下した。
米金利について「1─3月期の10年米国債利回りのレンジは1.6─2.1%のイメージを持っている。レンジの中でも下の方に向かうリスクが足元では高まっている」(国内証券)との見方が出ている。
3月の米利上げが遠のく状況で、米金利が低下基調になった場合、日米金利差の縮小による円高加速を警戒する見方が増加中。リスク回避の流れが強まることで、円債金利には強い低下圧力がよりかかってきた。
海外勢・国内銀行勢が相乗り
海外勢の日本国債に対する需要は一段と強まっている。1年物ドル円ベーシススワップのプレミアムは、マイナス金利導入前の0.5%割れから0.7%に急上昇。円転コストを考慮に入れた海外勢の需要は中短期ゾーンだけではなく、より長いゾーンに向かうとの指摘がある。
一方、これだけ金利が下がると、さすがに都銀をはじめとする国内勢は円債を買えないとの見方があるが、「そんなことはない」と国内証券のマーケットエコノミストはきっぱり否定する。
「国債を買わないと、その分だけマイナス金利の付利が積み上がるだけの話で損をする。追加緩和によりマイナス幅が0.1%よりさらに下がる可能性がある状況で、今のうちに買う方がましだという心理が働く」という。
また、リスク性資産や外債を買うことに慎重な国内銀行勢の中には、日銀が国債買入オペで高く買ってくれれば、マイナス金利でも問題はないとの見方が根強い。
今後の展開について、市場では「2年債や5年債といった中短期ゾーン金利がマイナス幅をさらに深くすることが想定できるので、今後のイールドカーブの平坦化を考えると、現状の10年債利回りがマイナス幅を一段と拡大してもおかしくはない」(外資系証券)との見方が徐々に広がりつつある。
(伊藤武文 編集:田巻一彦)
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