トヨタ自動車は今期販売650万台と100万台超減、円高も重なり、営業赤字拡大へ

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トヨタ自動車は今期販売650万台と100万台超減、円高も重なり、営業赤字拡大へ

トヨタ自動車が8日、今2010年3月期計画を発表した。今期見通しはマーケットの回復期待を裏切り、大方の見方を覆す悪化ぶりだ。

前09年3月期は、前期比21.9%の減収、4610億円の営業赤字で、4369億円の最終赤字。期中3度の下方修正をした結果、営業赤字は何と71年ぶり、最終赤字は59年ぶりである。08年3月期の最高益から、一転、最悪の決算となった。

業績悪化の2大原因は「販売減」と「円高」だ。連結販売台数は757万台(前期比135万台減)で、国内外全ての地域で減少した。販売減で1兆4800億円の利益マイナス要因。また円が対ドルで101円、対ユーロで144円と、それぞれ前期に比べ13円、18円の円高となった。円高は7600億円の利益マイナス要因である。年間配当は100円と、初の減配に踏み切る方針だ。

今期は、さらに悪化の度合いを増しそうだ。売上高は前期比19.6%減、営業赤字に至っては8500億円と、過去最悪を更新する。

2大悪化原因について今期は、販売減で8000億円、円高で4500億円の利益マイナス要因を見込む。連結販売台数は650万台見込み。北米の35万台減をはじめ、国内外で107万台の減少と見る。「プリウス」の受注好調など明るい材料もあるが、それが全体には波及していないようだ。

また為替は、対ドルで95円、対ユーロで125円と、さらに円高を想定している。これらを原価改善3400億円、固定費削減4600億円のプラス要因などで、補い切れない。ただ半期ベースで見ると、営業赤字は上期6000億円、下期2500億円と、赤字額は来期に向けて縮小傾向にある。前下期は1兆0431億円の赤字(うち09年1~3月の第4四半期だけで6825億円の赤字)だったことから、さすがに大底は打った感が強い。

設備投資は今期8300億円で、前期実績の1兆3025億円から、4割近くも減らす。ここ数年、減価償却費を大きく上回る1兆円以上の投資をしてきたが、米ミシシッピ工場の稼働延期をはじめ、能力増強投資などを全てストップする。今も生産能力は1000万台近くあり、対して販売が650万台だから、このギャップを埋めるのは並大抵ではない。聖域だった研究開発費も8200億円と約1割削減する。

「東洋経済オンライン」は、トヨタ自動車が前期の度重なる修正への“批判”を受け、今期の業績予想をあえて慎重、かつ悲観的なシナリオに置いたと判断している。政府が検討しているエコカー支援の効果なども考慮しておらず、為替も現時点で想定より円安で進んでいる。もっとも一方で、ドル箱の米国市場がゼネラル・モーターズの破綻懸念などでいまだ回復が読めないなど、不透明な要素も残る。強弱の判断材料が交錯する中、会社側計画は妥当な水準の範疇にあると見て、「東経オンライン」予想数字を踏襲する。

黒字化は来2011年3月期まで持ち越されよう。なお今期の配当は2期連続の減配になる公算が高い。


《東洋経済・最新業績予想》
 (百万円)    売 上  営業利益   経常利益  当期利益
◎本2009.03   20,529,570   -461,011   -560,381   -436,937
◎本2010.03予  16,500,000   -850,000   -850,000   -550,000
◎本2011.03予  19,500,000    200,000    200,000    180,000
◎中2008.09   12,190,405    582,068    636,487    493,469
◎中2009.09予   7,600,000   -600,000   -600,000   -450,000
-----------------------------------------------------------
          1株益\    1株配\
◎本2009.03       -139.1        100 
◎本2010.03予      -175.4      90-95 
◎本2011.03予        57.4     95-100 
◎中2008.09        156.9         65 
◎中2009.09予      -143.5      30-32 
大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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