「発達障害があるからといって仕事のパフォーマンスが悪くなるわけではない」「自己の問題点や性格を発達障害で説明しようとしていないか」――。
10項目ほどが箇条書きされた書類。表題には「診断に対する注意点」とある。キヨタカさん(仮名、53歳)が昨年、発達障害の診断を受ける直前に医師から手渡された書類だ。最後は「これらをクリアするなら、診断は可能」という言葉で結ばれている。
仕事はなく、80歳を過ぎた母親の年金頼み
キヨタカさんは関西のある地方都市の出身。私立大学を卒業して会社員として働き始めたものの、仕事が長続きせず、これまで30回近く転職を繰り返してきた。職場での人間関係もうまく築くことができず、上司や同僚から「生きとる意味あるのんか」などと罵倒されたり、こぶしで頬を殴られたりしたこともある。
仕事はもって1、2年。その間うつ病を発症し、何度もひきこもり状態に陥った。自宅は、父親が建てた築50年以上の持ち家。父親はすでに亡くなり、現在は80歳を過ぎた年金暮らしの母親と同居している。
室内の土壁はところどころ剥がれ落ち、屋根のトタンも一部が剥がれかかっている「地域では有名な廃屋」。先日も近隣の住民から「風で屋根が飛んできそうで危ないから何とかしてほしい」と苦情を言われたが、母親の年金は月約10万円で、キヨタカさん自身は現在、失業中。日々の食費にも事欠く状態で、家の修理など到底ままならないという。
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