DV加害者だった52歳夫を変えた強烈な「自覚」 耐えかねた41歳妻が被害者になり気づかせた
妻を叩いても「DV」の自覚はなかった
引き金はいつも、取るに足らないことだった。
「カレーには福神漬けとラッキョウ。とんかつにはソース。くだらないことなんですが、こういった約束事が守られていないと、何度言えばわかるんだとイラついてしまって」
DVの元加害者、中川拓さん(52)はそう振り返る。1年間通った加害者プログラムを今年2月に卒業。現在は宮崎県西都市で一般社団法人エフエフピーを夫妻で立ち上げ、自身の経験をもとにDVや虐待の相談を受けている。
拓さんはかつて、妻の亜衣子さん(41)に対し、言葉の暴力やモラハラを繰り返し、平手で叩いたこともあった。
「もちろんケガをしない範囲で。スーパーでお母さんが子どもに『ダメでしょ!』と頭をポンと叩いていることがあるでしょう。あれと同じ。しつけの一環だったんです」
昔からリーダー気質だったという。学校では学級委員や応援団長をこなし、人気者で“モテる”タイプでもあった。
「妻には『俺が上、お前は下』くらいのことを言っていて。今思えば、いろんな刷り込みから、男らしさをはき違えていたんです。決め癖がついていて、夫婦で何かを決めるときも『君はどうしたい?』じゃなくて『これでいいよね?』と決めてしまう。妻はそれに納得していないから、約束したことを忘れることがある。それを指摘するとむくれた顔をするので『やることやってない奴が、何むくれているんだ』と説教を始めるわけです。あくまで自分は正しい側にいる。委縮して何も話せない妻に『なに黙ってんの』とさらに圧力をかけて……。それでも自分がDVをしている自覚はありませんでした」
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