JR北海道「新たな自殺者」と「アル検拒否」の歴史 国交省鉄道局も「とうてい理解出来ず」と批判

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JR北海道は、どこへ向かっているのだろうか(写真:CRENTEAR/PIXTA)
国交省がJR北海道の運賃値上げを認可した9月5日、またしても「JR北海道社員が自殺」の報が入った。前回記事でとりあげたJR北海道・中島社長の自殺から8年後の、この社員の自殺の背景について、このほど『トラジャ JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』を上梓した西岡研介氏が詳報する。

さらなる自殺者

10月1日からの消費税率引き上げに合わせ、1996年以来、23年ぶりの運賃値上げに踏み切った北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)。

『トラジャ JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

消費税率引き上げ分の転嫁を除けば、国鉄分割・民営化以降、2回目となる値上げを行うのは、JR旅客6社の中でもJR北海道だけだが、国土交通省が同社の運賃値上げを認可する前日の9月4日、1人のJR北海道社員が自殺しているのが見つかった。

亡くなったのは、JR北海道「岩見沢運転所」に勤務していた43歳の運転士。JR北海道社員の約8割が加入する同社の最大労組「北海道旅客鉄道労働組合」(JR北海道労組、約5500人)の組合員で、JR北海道労組札幌地方本部「岩見沢運転所分会」に所属していた。

JR北海道関係者によると、運転士は9月4日午後1時に出勤する予定だったが、勤務時間になっても職場に姿をあらわさなかったため、前述の岩見沢運転所分会の役員が、運転士の住む社宅まで探しに行ったところ、社宅のボイラー室で首を吊っているのが見つかった。関係者によると、この運転士は「自殺するまでに6回、アルコール検査に引っかかっていた」という。

アルコール検査(アル検)とは、警察が、一般ドライバーに対して行う「飲酒検問」と同様に、自動車運送(トラック、バス、タクシー)事業者や、鉄道・船舶・航空事業者が、アルコール検知器などを使って、乗務員(鉄道の場合は運転士と車掌)や船長、パイロットらを対象に、運転や乗務に支障をきたす酒気を帯びていないか検査することだ。

鉄道事業者でのアル検は通常、運転士や車掌の乗務前の点呼の際に、管理者立会いのもとで行われるのだが、自動車運送事業者と違い、これまで法律では義務づけられていなかった。

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