移民拡大に潜む「健康保険制度」破壊のリスク 周辺制度設計についても丁寧な議論が必要だ
「これでは日本の健康保険制度が崩壊してしまう!」
10月31日に開かれた国民民主党の「外国人労働者受け入れ制度に関するプロジェクトチーム」の会合。この場で関係省庁からのヒアリングを受けた山井和則衆議院議員は、こう叫んだ。
このヒアリングがあった翌々日の11月2日には、外国人労働力の受け入れ枠を拡大する入管法改正案が閣議決定している。国民民主党が会合をヒアリングを行ったときには、すでに同法案は自民党の総務会で了承されていた(10月30日)。公明党も31日に法務部会で同法案を了承している。
3カ月以上滞在すれば、健康保険に加入できる
そうした中での国民民主党のプロジェクトチームの会合は、騒然とした空気に包まれた。「もしかして自民党はこの問題に気付いていないのではないか」。不安を口にした議員がいた一方で、官僚に詰め寄る議員もいた。
「あんたら、自民党にちゃんと説明したんか」ーー。彼らが驚くのはもっともだ。外国人が3カ月以上滞在すれば、健康保険に加入することができる。そしてその適用は本人ばかりではなく、被扶養者にも及ぶのだ。
その被扶養者の範囲は法によって決められ、配偶者(内縁を含む)、子供(養子を含む)、孫、兄弟姉妹、養父母を含む父母等の直系尊属は、同居でなくても健康保険の加入が認められる。それ以外の3親等内の親族、内縁の配偶者の父母と連れ子(内縁の配偶者死亡後も含む)については、同居することが条件となる(所得制限あり)。
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