ヤマダコーポは株主提案で経営陣が総入れ替え。企業価値向上へ新経営陣に重い責任
株主提案でトップ人事が覆った。ポンプなど産業用機器メーカーのヤマダコーポレーションは、28日に開いた株主総会で株主提案の取締役選任案を可決。その後の取締役会で山田昌太郎氏が社長に就任した。同社では取締役の選任をめぐり、一部株主側と会社側が委任状争奪戦を繰り広げていた。
株主提案をしていたのは、昌太郎氏の父である山田豊雄元社長。会社側で次期社長に内定していた和正氏の兄にあたる。豊雄元社長は「和正氏はヤマダコーポレーションと取引関係にある会社の大株主でもあり、競業取引および利益相反取引の懸念がある」として、和正氏の社長就任に反対していた。
しかし和正氏が大株主である会社のワイ・テイ・エスはヤマダコーポレーションの連結対象となっている。ヤマダコーポレーションの監査役会は利益相反取引の存在を否定しており、弊社の取材に応じた村瀬博樹取締役も「両社は製品開発を分担し合うなど、競業というより協力関係にある」と語る。株主提案の背景には、兄弟間における路線対立があったようだ。
トップだけでなく、経営陣がほぼ入れ替った今回の事態。なぜそれが必要だったのかについて、村瀬取締役は「若返りが必要だった」とだけ語る。ただ現時点では新経営陣が前経営陣と異なり、とのような方向を目指すのか明確ではない。同社の業績は2010年度以降回復基調にあり、前経営陣は海外展開を加速させる方向も示していた。新経営陣がどう企業価値を高めていくのか。自らを信任した株主に対して、重い責任を追うことになる。
(並木 厚憲 =東洋経済オンライン)
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