マンション価値が落ちないブランドはこれだ 初公開!施工会社別のランキングも

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東急不動産の「ブランズ四番町」

マンションブランドのトップは東急不動産の「アルス」。1969年に都市型マンションブランドとしてスタートし、2006年に5位の「ブランズ」に統合されているので、両者は一体としてとらえていい。住宅評論家の櫻井幸雄氏は「物件としての特徴はそれほどないが、東急沿線の優良な立地が多い。ブランドと沿線のイメージが合致している」と評する。

三菱地所レジデンスが開発を発表した「ザ・パークハウス 鴨川」

アルスを含めた上位4ブランドは騰落率がプラス、つまり平均して資産価値を高めたブランドだ。櫻井氏にそれぞれの特徴を聞くと、「三菱地所レジデンスの『ザ・パークハウス』は立地がよい、東京建物の『ブリリア』は派手さはないが基本構造がしっかりしている、野村不動産の『プラウド』は洗練されている」という。こうしたブランドごとの特徴を大まかにつかむと、物件選びの際の参考になる。

ランキングには大手が順当に名を連ねているが、中堅どころのマンションブランドが必ずしも劣るというわけではない。10位以下には特徴のある中堅ブランドが多くランクインしている。詳細ランキングは週刊東洋経済12月5日号(11月30日号)『これからのマンション選び』に掲載した。

大手ブランドのメリットは、欠陥が見つかった場合など、いざというときの補償が厚いということだろう。ただ、マンション業界ではリーマンショックの後に多くのデベロッパーが淘汰され、その数は半減したといわれる。現存するデベロッパーはその荒波を乗り越えており、中堅どころでもそれなりに体力のある会社が多い。

施工会社はスーパーゼネコンが独占

施工会社でも、いわゆるスーパーゼネコンが上位を独占した。上位5社のスーパーゼネコンが施工したマンションは、平均すると分譲時よりも中古のほうが資産価値を高めている。上位5社のほかにも清水建設、錢高組、大豊建設の施工したマンションは騰落率がプラスになっている。

スーパーゼネコンが上位を独占したのは、それだけ資産価値の上がりやすい都心に位置したマンションが多いからだ。逆に言えば、スーパーゼネコンは郊外ではマンションをあまり手掛けていない。大手は中堅ゼネコンと比べて施工費が高く、立地のいい物件でなければコストが合わなくなるためだ。

また、このランキングはあくまで資産価値の視点で評価したものであり、マンションの安全や品質とは必ずしも一致しないことに注意してほしい。大手の施工だからといって欠陥がないわけではないことは、横浜の傾きマンションを見てもわかる(同物件は三井住友建設が施工)。

今回、30位とランキングから対象外になった長谷工コーポレーションは、企画から施工までマンションに特化して業界での存在感を高めている。「長谷工の施工したマンションは一度も建て替え事例がない」(櫻井氏)ともいわれ、品質には一定の評価がある。

いずれにせよ、傾斜マンション問題をきっかけに、マンション業界ではさまざまな変化の兆しがある。このランキングも参考にしながら、あなたの買うべきマンションをじっくりと見極めてほしい。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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