習近平はなぜそこまで台湾にこだわるのか? 舛添要一が読み解く「中国屈辱の近代史」と「北洋艦隊壊滅の地」に立った男の執念
習近平は「アヘン戦争」に触れ、170余年の「奮闘」の歴史を回顧している。そして、改革開放政策の実行以来、目覚ましい発展を遂げたことを誇るのである。
この演説から2026年2月までに13年の年月が経過したが、中国は年率5%以上の経済成長を続け、先端技術の開発で世界をリードし、軍事力も拡大して人民元の国際通貨化も進んだ。習近平は、着実に「中国の夢」を実現してきている。その意味では、この現代の皇帝は公約を果たしていると言えるだろう。
屈辱の歴史の象徴・台湾
台湾の対岸にある福建省で17年間勤務した習近平は、台湾には特別の思い入れがある。「中華民族の偉大な復興」を実現するには、台湾を統一することは不可欠の条件である。「一つの中国」は毛沢東以来、中国の政権の主張であり、それは日米両国をはじめ国際的にも認められている。習近平からすれば、台湾独立など論外である。
2018年6月12日、上海協力機構(SCO)の青島サミットを終えた習近平は、山東省を視察した。午前中に青島海洋科学・技術試行国家実験室を訪ねたあと、列車で発ち、威海(旧・威海衛)に到着した。同地は李鴻章が率いる北洋艦隊の拠点があったところで、日清戦争で日本軍の攻撃を受けて1895年2月、北洋艦隊は壊滅した。その後、清は敗北し、下関条約で台湾を日本に割譲したのである。
習近平は船で北洋艦隊の母港のあった劉公島に向かい、甲午戦争(日清戦争)博物館展示館で、展示物の説明を受けた。劉公島は屈辱の歴史の象徴とされ、中国近代史を学ぶ場所になっている。劉公島訪問も、前述した北京の中国国家博物館での「復興の道」展示会見学と同様に、屈辱の近代史を見つめ、「中華民族の偉大な復興」の必要性を国民に認識させる行動である。
そして、彼は甲午戦争博物館展示館で、「長く警鐘を鳴らし、歴史の教訓を銘記する必要がある。13億あまりの中国人は発奮して強くなる必要がある」と述べた。


















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