「メタバースでSEL教育」行う不登校支援、発達特性がある子も参加しやすい・・・東京学芸大との共同研究で"社会情動的スキル"の傾向や変化を検証
児童臨床心理学を専門とする東京学芸大学教授の松尾直博氏は、こうした結果や夢中カレッジの授業を見学した実感から、次のように語る。
「予備調査の一部の結果にも表れていますが、不登校状態にある子どもたちは社会性や感情面で苦手意識を持っていることが多い。また、メタバースはコミュニケーションにおいて、表情や声のトーンなどの情報が対面より制限されるという不利な面があります。メタバースの不登校支援がうまくいっていない現場があると聞きますが、そのあたりに課題があるのではないかと思います。
しかし、夢中カレッジは、そのメタバース特有の『制限』が逆に子どもたちの自己表現の助けになっている印象を受けました。声だけで参加する子、テキストでユーモアを発信する子など、自分に合った形で社会性と情緒を発揮しており、他者理解という点でも非常に可能性があると感じています。SEL教育も重要ですが、それを育むためにコミュニティーを作ろうとする空間設計や時間設計がカギになっているとみており、その点を明らかにして学術的な成果につなげたいと考えています」
さらに、この共同研究は教育の担い手を育てるうえでも意味を持つという。荻上氏は、「現在は学校の教員以外にも、多様な場で学びを支える人が増えている。メタバースとSELを掛け合わせた現場の知見を深めることは、将来的な教育人材の育成にもつながる」と指摘する。
また松尾氏も、臨床心理の視点から「メタバースにおけるスタッフの関わり方は、カウンセラーや臨床心理士の養成において新たな視点を提供できる可能性がある」と期待を寄せる。
課題はオンラインから「リアルへの橋渡し」
東京学芸大学との共同研究は、今後も中長期的な取り組みが検討されているという。「不登校支援という枠組みを超えて、子どもたちのウェルビーイングのために何が必要かという観点から研究を進めたい」と辻田氏は展望を語る。
次のステップとして取り組むべき課題は、「このモデルをより多くの子どもに広げることと、オンラインで元気になった子どもたちをリアルへつなげる仕組みをつくること。自治体との連携を進めることで、経済的負担なく参加できる形に広げたい」(辻田氏)とのことで、すでに複数の自治体と協議を進めているという。
メタバースとSEL教育を融合させた取り組みの効果が学術的に検証されることは、不登校の子どもたちにとって学びの選択肢を増やす後押しとなるだろう。
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