探偵ナイトスクープ「小6男子がヤングケアラー?」で両親が炎上…「保護を」「施設に入れてあげて」に養護施設の元職員が「現実的ではない」と思う訳
親に向けた育児・福祉支援の紹介はできても、「今苦しんでいる子どもがすぐさま救われる支援」は難しいのが実情なのだろう。
ヤングケアラーの少年の「保護」は現実的ではない
今回の炎上を受け、SNSでは「依頼者の少年を児童相談所が保護するべきだ」「養護施設のほうが幸せに過ごせるのでは」といった主張が飛び交っていた。
ところで筆者は毒親家庭出身であり、東洋経済オンラインにて「ドラと毒親」という毒親サバイブエッセイを連載している。娘(筆者)にごはんを与えず、未就学児を家に放置する母親の気持ちが理解できず、そんな母親の気持ちを少しでも理解したい……と無意識下で思っていたのか我ながら定かではないが、大学では心理学を専攻、卒業後は児童養護施設で働いた経験がある。
だからこそ背景を想像しやすいのだが、視聴者の「保護してあげてほしい」という願いの実現はかなり難しいのではないかと思う。
そもそも、児童相談所では緊急性の高い家庭への介入が最優先なのだ。世の中には、子どもに激しい身体的虐待を加えたり、餓死寸前までネグレクトするような親もいる。こうした「生命の危機」に瀕している子どもの命を真っ先に救わなければならない。
一方、「探偵!ナイトスクープ」に依頼した少年はきれいな服(2025年に発売されたばかりのユニクロのドラえもんTシャツ)を着ていた。家族の分まで料理するのは自分でも、それなりに食事もできている様子に見える。非常に現実的な意見となるが、誰から見ても衣食住が足りている状態の子どもを保護するほどの余裕はこの国の児童福祉にはないだろう。
筆者のこれまでの経験からすると、現時点で児童相談所が取れる対応は、少年本人や両親との面談が中心になる可能性が高いのではないかと感じている。
たとえばの話だが、仮に保護できたとしよう。児童はまず、担当地域の児童相談所の一時保護所や児童福祉施設で保護される。一時保護所では、ほんの数年前まで個人情報保護の観点からその場にいる他の子どもとの私語を制限されるのが当たり前だった(現在は環境改善の取り組みが行われているようだ)。また、保護児童の行方不明を避けるため、トイレに行くためには職員への申告が必要な場合もある。一時保護期間は学校に通うこともできず、勉強はプリント中心の自主学習となる。
上記のように、一般的な生活をしている人が想像するより、ずっと現実的な環境で「親元へ戻るか」「施設で暮らすか」が決まるまで過ごさなければならないのだ。
さらに、「現状では親元に戻せない」と判断して施設に入ることになったとする。そうなると、保護された場所とは違う県の児童養護施設に入るケースが多い。果たして今までの環境をすべて捨ててまで、保護されたいと思えるのか? さらに両親や弟妹を置いて、自分だけ保護されることに耐えられるのか?


















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