廃墟モールにロピアが入居→ロピア周辺だけにぎわう…「復活が叶わない」施設の特徴と、"皮肉な延命"から学べること

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かつてモールは「このモールに行けば一通り揃う」という面の力で成立していた。

しかし今は、そのようなモールは日本全国にあるし、ネット通販という強大な競争相手も出てきている。「一通り揃う」だけでは弱い。だから「点」の強化に走る。だが、点の強化は、他社も真似できる。結局、「どこが強い点を作れるか勝負」になり、綱渡りになる。

「東洋経済オンライン」にて、坪川うた氏が廃墟モールの成立条件をまとめている。それが、以下の7つである。

①競合施設の存在
②モータリゼーションの進展
③アクセスの悪さ
④動線の設計ミス
⑤施設規模の不適合
⑥運営会社の破綻
⑦核テナントの撤退

これらは、廃墟モールをめぐっている私からしても、非常に納得度が高いまとめである。一方で、都市ジャーナリストとして、可能であればここに付け加えたい要素がある。「⑧『面』としての施設の魅力の欠如」である。

「あのモールだから行きたい」「あのモールのここがいい」というような状態を作り出すことができていないモールが「廃墟」になってしまう。というよりも、この要因は、これら7つの要因の前提条件かもしれない。「面」としての魅力がモールになければ、この7つの要因がその施設を直撃する。そんなイメージだ。

ロピアが果たす役割は「⑦核テナントの撤退」を埋める作業だろうが、大前提となる「面としての魅力を高める」ことをやらなければ、ロピアだけに客が入ってしまうのも当然ではある。

「廃墟モール」再生の道のりは長い

筆者は、廃墟モールにロピアが入ることを否定しているわけではない。むしろ、空洞化した施設に「生活の用事」を戻すという意味で、ロピアは非常に強い。だが同時に、そこにはリスクがあることも確かだと思う。

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ロピアは「にぎわいの火種」を作るが、「モール再生の主体」ではない。ロピア出店をゴールにせず、そこから先の「モールとしての魅力を作れるか」が勝負になる。

「面づくり」は「テナントを増やす」より手間がかかる。ターゲットを決め、テナントを組み替え、イベントなどを通した地域への貢献なども必要になってくるだろう。ロピアを呼んだだけで満足してしまうと、点は残っても、面は回復しないまま時間だけが過ぎていく。

ただ、施設側がそのような「面づくり」にコストをかけられるかどうか。地方には、もはや事業者がほとんどその施設に関心を持たず、打ち捨てられたような場所も多い。そこでは「面づくり」などは想定もされていないだろう。とはいえ、そうした廃墟モールがそのままでいいのかどうか。これは、日本全体として考えるべき課題でもある。

「廃墟モールにロピア」という状況からは、このような日本の商業施設の現在地までをも考えることができるのだ。

【前編はこちら】ロピアが「廃墟モール」に平気で出店する納得の訳
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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