「大学進学」への教育投資、回収難の時代が来る?アメリカの"ブルーカラービリオネア現象"日本でも起きるか…AI時代に子どもに必要な教育は

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AIのように技術革新が激しいときは、ベースとなる技能の育成を無視して進めてはならないという。では、AIと協調しながら効率よく仕事を進めるのに必要な技能とは何なのだろうか。

「AIは言語でコミュニケーションをします。出力は文章のため、文章を読む力が大事になります。しかも、嘘も計算間違いも混じった長い文章を出力しますから、それをきちんと読む力が必要です。ここでいう文章とは、文学作品のような文章ではありません。AIは教科書や新聞、論文といった、“学習言語”から学んでいるため、そういった文章を正しく読めないと、AIとタッグを組んでも生産性を上げることが難しいのです」

新井氏が言う学習言語を正しく読める力とは、一人で教科書を読み、理解できる力だ。そのために必要なのは構文や語彙をきちんと押さえること。それは昔ながらの勉強の仕方でも身に付くものだという。

ホワイトカラーを輩出する大学が向かうべき道

新井氏らの調査によれば、読解力は15歳以降に伸びにくく、それまでにしっかり身に付けておく必要があるという。

「中学校で子どもがつまずくのを防ぐには、小学校の段階である程度、教科書を読めることが大切です。中学受験させれば大丈夫と考える親御さんも多いかもしれませんが、そういう学校は教科書を読める前提で先生が授業を進めていきます。また、最近は中学生に探究学習や卒論を課す学校もありますが、そこでも読解力が必要となります」

では、従来のホワイトカラーを担う人材を育ててきた大学は、これからどんな教育を行うべきなのだろうか。

「大学進学は教育投資ですが、半分くらいの人がその投資を回収できなくなる世の中が目の前に迫っていると思われます。親御さんも教育投資のあり方を考える必要があるでしょう。

今の教育のあり方では15歳以降は読解力が上がりませんが、読解力がなければAIと組んで仕事の生産性を上げるのは難しい。では、大学はどうするか。新書を読み通せなければ専門書も読めませんから、まずは1年生で新書や新聞の読み方を身に付ける必要があると思います」

大学で何を学ぶべきか、ではなく、行くべきかと考える時代が来るかもしれない。親世代が生きてきた時代とは社会のあり方も仕事の進め方も変わる未来を生きることになる子どもたち。だからこそ、基礎的な能力と本質的な学びが求められると言えそうだ。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
吉田 渓 フリーライター

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よしだ けい / Kei Yoshida

神奈川県出身。大学在学中からフリーライターとして執筆活動を開始。近年は心と身体、教育、ワークスタイルなどを中心に執筆を行う。ライフワークは農業や漁業にまつわる言い伝えや桜の言い伝えを調べること。著書に『働く女のスポーツ処方箋』がある。

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