「大学進学」への教育投資、回収難の時代が来る?アメリカの"ブルーカラービリオネア現象"日本でも起きるか…AI時代に子どもに必要な教育は
ただし、「人間の生活空間でヒューマノイド(人型ロボット)が働くことは考えにくい」と新井氏は話す。
「映画などで描かれるロボットやAIのイメージは、現実を反映しているとは言えません。オートメーションの一環でロボットが寿司を握る、QRコード決済を導入して人手を減らすなどは可能ですが、ロボットは重量があるので、万が一にも転ぶと、周囲の人が怪我をする可能性もあります」
さらに、AIは「いろいろなものが入っている冷蔵庫から指定されたものだけを取り出す」といったようなタスクを行うのは難しいという。シンプルで、人間が無意識に行っていることでも、機械にとっては高度で複雑なタスクということも少なくない。
「例えば、混んでいる駅で駅員の業務を行う、屋根の雪下ろしをする、配管工事や電気工事、建設業の現場監督といった仕事などはAIに代替される見込みがありません。
中でもマンションの修繕工事などは緊急性が高いうえに人手が不足しているので、アメリカでは賃金が上昇しています。日本でも除雪車の運転手のような免許が必要で担い手が少ない仕事は、賃金単価が上がる可能性があります」
AIによって大きな変化が見込まれる労働市場。そんな社会に対応できる力を子どもたちは身に付けていく必要があるが、教育の世界ではAIへの誤解があると新井氏は指摘する。
「教育現場ではよく『AIの時代だからコミュニケーション能力が大事』と言われますが、実は最初にAIに代替されるのがコミュニケーションです。相手を思いやる、傾聴するといったことは人間じゃないとできないと思われていましたが、実は人間より生成AIのほうが得意なのです」
いまやカウンセラー顔負けの傾聴力を発揮し、スムーズなやり取りができるようになり、実際にChatGPTをはじめとした生成AIに悩みを相談する人も増えている。
「しかし、AIは話の意味を理解しているのでもなく、また人間に共感しているのでもありません。多くの人が生成AIを使うことでパラメーターが多くなり、会話のバリエーションが増えます。そのため、男子高校生、女子高校生、研究者、お年寄りと、対象に合わせた最適な文の流れやフローが繰り出され、違和感のない会話ができるのです」
必要なのは「AIと組んで生産性を上げる能力」
今の子どもが社会に出る頃になっても、「AIが完璧になることも、AGI(汎用人工知能)が実現することもないだろう」と新井氏は話す。
AGIとは、Artificial General Intelligenceのことで、人間と同等、もしくはそれ以上の能力を持つ人工知能を指す。
だからこそ、「人間だけ」「AIだけ」で仕事をするのではなく、人間はAIとタッグを組んで仕事をすることになる。
「そのために必要な能力は、プロンプトの書き方ではありません。生成AIはモデルごとにプロンプトの書き方が違いますから。目の前のことは1〜3年で古くなるので、約10年ごとに改訂する学習指導要領は本質的なことに戻る必要があります」


















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