完全週休2日、校務分掌を大幅削減…「子ども主体の学び」実現の両輪で必要だった"本気の働き方改革"《カリキュラムで勝負する横浜創英》の現在地

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そうしたルールを決めることで、1回の職員会議は15分以内に終わり、従来と比べると「年間100時間くらいの時間短縮になっているはずです」(本間氏)という。それだけ教員の時間には余裕が生まれる。

また教員の多忙化を生みだす元凶として問題にされているのが、教員が分担して行っている学校内の仕事や役割である校務分掌である。それも大幅に削減した。

「伝統・慣習だけで意味のない分掌が多すぎたし、くだらない校内の委員会もありました。そういうものは大胆に切っていくしかありません。コロナ禍を経験したことで、教員も余裕が必要なことを理解できていたので、大胆に整理することができました」と、本間氏。

分掌は大幅に再編され、17あった委員会の大半も廃止された。出欠や成績などの管理にICTを活用するなどして、業務改善も大幅に進んだ。教員の仕事は大幅に減り、余裕が生まれることになった。

教員の時間に余裕を生みだすためには、働き方改革だけでは不十分である。カリキュラムにも手をつけなければ、教員の働き方は改善できない。

そしてカリキュラム改革は、生徒の学び方とともに、生徒の学びを支援する教員の働き方も変えてこそ意味がある。その改革を本間氏は、プロジェクトチームをつくって進めることにした。22年ごろのことだった。

進学実績に熱心だった本間氏がカリキュラム改革に着手したといえば、本格的な進学校にするための改革なのか、と考えてしまう。実際はそうではなく、教員主体だった授業から「子ども主体の学び」に変えるための改革だった。本間氏の“変身”といえるのだが、その理由を次のように説明する。

「社会に出た教え子たちと会うと、彼らが社会を楽しんでいない。未来を語るよりも、現在の苦悩を語ることが多い。その姿を見た時に、自分の教え子たちが社会でどう過ごしているのか、社会で活躍しているのか、そうしたことに無関心であった自分をふりかえって反省しました。学校のもっとも大切な役割は、社会を生き抜く力を育てることにあります。これからの学校は、社会で活躍する準備の場所に変わっていかなくてはならないと考えました」

そこから導いた答えが、「学びを生徒主体に移譲し、実学的な学びで生徒と社会をつなげる」という横浜創英の最上位目標であり、それを実現するためのカリキュラム改革だったのだ。学習指導要領でも「主体的・対話的で深い学び」が謳われているけれど、多くの学校で「主体的」は絵に描いた餅になっているのが現実である。

高校1年生で多くの必履修科目を終える理由

横浜創英では約2年間の検討を経て、25年度に入学した生徒から、改革カリキュラムが本格的に実施されている。大きな改革点は3学期制から2学期制にして時間を確保し、自由選択の幅を広げたことにある。

高校で修得しなければならない単位科目には必履修と自由選択があるが、横浜創英では1年生の段階で多くの必履修科目を終え、2年生からは自由選択の科目が増え、3年生ではほとんどの時間が自由選択科目になる。自由選択なので、どの科目を選ぶかは生徒の判断に委ねられるので、「主体」を実現することになる。

「今までの学校は生徒に好きなものを諦めさせて、やりたくない嫌いなものを押しつけるカリキュラムでした」と、本間氏。学年が進むほど自由選択の幅が広がって時間割が生徒一人ひとりで違ってくるので、本間氏に言わせれば「1200人の生徒がいれば1200通りの時間割」となる。

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