公立小「学習塾版のユニクロ」との連携で学びが激変、勉強に自信のない子たちが「算数が好きになった」「満点を取れた」…教員は指導をどう変えた?
勝俣氏は、「この取り組みを始めて間もないですが、授業風景が明るくなり、算数の授業が楽しいという子も増えました」と言う。加藤氏や前田氏も「子どもたちの笑顔が増えました」とうれしそうに話す。
「宿題も授業も一生懸命取り組んでいるのになかなか成績に結びつかない子たちがいたのですが、そのまじめさが報われるようになってきたと感じます。実際、これまで自信を持てずにいた児童が、カラーテストで90点や満点を取るケースも。
コノセルの教材は動画や演習がわかりやすく、宿題の内容は翌日の確認テストとリンクしているため、ちゃんと取り組めばいい点数が取れる。スモールステップで自己肯定感を上げていくことができる仕組みなので、その成功体験の積み重ねが『算数が好き』という気持ちや意欲につながっているように思います」(加藤氏)
そのほか、算数だけでなく、他教科でも話を聞く姿勢が改善するなどのよい影響が出ているそうだ。
保護者からの評判も上々だ。懇談会後には数名の保護者が「授業スタイルが変わったおかげで、うちの子は算数が好きになりました」と、担任や管理職に感謝を伝えに来たという。
反転学習にも意欲、家庭学習と授業をシームレスに
「まだデータとして成果をお示しできる段階にはありませんが、これまでの授業より理解度が上がっており、子どもたちの力は伸びていると手応えを感じています。中教審で今議論されている『単元ベースの授業構成』が実践できているという観点からも、今回の連携は意義のある取り組みだと思っています」(杉森氏)
同校とコノセルの連携は、来年度も継続する予定だ。
「今後は家庭でインプットを行い、学校では協働的な学びに重きを置く『反転学習』の実施も視野に入れています。すでにデジタル教材の宿題は家庭でできるようにしており、欠席した子や登校しづらい子が家庭で学習できる体制も整えていますが、家庭学習と学校の学びがよりシームレスにつながるようにしたいです」(杉森氏)
コノセルのコンテンツ開発責任者を務める吉田幸弘氏も、「よりよい学習体験を子どもたちに提供するためには、学校も塾も関係ないと思っています。学校と手を取り合い、議論しながら授業やコンテンツをアップデートしていきたい」と話す。
ただ、同様の連携を広げていくことは容易ではない。笹目小は「2クラス・計46名」という小規模な環境であるため、教員による細やかなサポートが可能となっている。他校での展開は、規模に応じた運用の工夫が必要だ。こうした課題はコノセルも認識しているが、「数年後の教育の“普通”を作る全国的なモデルケースにしたいと考えています」(吉田氏)と力を込める。
ティーチングからコーチングへのシフトが求められている学校現場。テクノロジーと人の融合によって教員が児童一人ひとりに寄り添う時間を生み出した笹目小の挑戦は、これからの公教育の可能性を示す一歩と言えるのではないだろうか。
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