アップル、AI投資疲れの株式市場で脚光-年初の出遅れが一転して強みに

その結果、アップルの時価総額は現在4兆1000億ドル(約641兆円)に達し、S&P500種株価指数でのウエートは2番目に大きい。マイクロソフトを抜き、エヌビディアに迫る格好だ。
この変化は、巨大テック企業がAI開発に投じる巨額資金に市場が疑問を抱き始めていることを示している。
アップルが、AI技術が大衆利用に耐える段階に達した際に利益を享受できる立ち位置にあることも反映している。
「アップルがiPhoneに今後さらにAIを組み込んでいくことは間違いないが、同社はAIの軍拡競争と、それに伴う巨額の設備投資を回避した」と、同社株を保有し、アップルをAIバブルに対して防御的に働く「ややアンチAI的な保有銘柄」とみるグレンビュー・トラストのビル・ストーン最高投資責任者(CIO)は述べた。
もっとも、この上昇でアップル株の割高感は長年で最も強まっている。株価は今後12カ月の予想利益の約33倍で取引されており、過去15年でこの水準に達したのは数回に過ぎない。過去15年の平均倍率は19倍未満。
調査会社モフェットネイサンソンの共同創業者クレイグ・モフェット氏は「現在の水準が魅力的な参入ポイントになるところまで株価が上昇し続けるとは考えにくい」と話す。「投資家がアップルの防御的な価値に対して過大な支払いをしているのではないかという疑問がある。われわれにはそう見える」と語った。
AIを巡る疑念が強まる中で、アップルに対する投資家の熱意を支える論理は明快だ。AIが本格普及し収益化が進めば、数百万のユーザーがアップル製品を通じてAIにアクセスする可能性が高く、それがデバイス需要を押し上げ、高収益のサービス事業を加速させる。
AI開発に投じられる巨額の設備投資にウォール街が不安を強めるなか、アップルは多額の支出なしに有利な立場を築いている。
「株価は高いが、アップルの消費者向けブランド力は揺るぎない」とモフェット氏は話す。「AIバブルについて現実的な懸念がある中で、アップルが身を寄せるのに適した安全地帯とみなされるのは妥当だ」と述べた。
著者:Ryan Vlastelica、Felice Maranz
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