現在の鉄道業界にはびこる「全体主義」の正体は? 「安倍政権の軍師」藤井聡氏が力説する公共交通像
さらに心理学的なアプローチは、行政や政治の判断にも応用できる。藤井氏は、自身が安倍内閣に提案した国土強靭化政策について、「現在、政策が推進される体制となっているのは、国会議員や国民に向けて展開した心理学的アプローチの成果である」と胸を張った。
基調講演に続くパネルディスカッションで、藤井氏は「極悪人と戦うためにモビリティマネジメントを行っている」と発言した。その真意を尋ねたところ、「極悪人とは全体主義者」のことを指しているといい、「マニュアルに基づいて、あるいは、単なるルーチンに基づいて交通の政策や事業や研究を進める人が多数いる」ことを問題視していると力説した。全体主義者とは個人の利益よりも全体の利益を優先する人たちのことだ。この場合、個人を鉄道利用者、全体を鉄道会社と考えればわかりやすい。
1人ひとりの幸福のために
「彼らは、いわゆる『全体主義』的システムを作り上げており、本来交通が人間の幸福のために存在するべきものであるという当然の前提を忘れ、過剰なビジネス主義や事なかれ主義等が横行している実態がある。そういうものを解きほぐし、1人ひとりの人間の幸福のための交通の政策や事業や研究が進められ、実際に1人ひとりの人間が幸福に近づいていくことを促すためにモビリティマネジメントがある」という。
さらに、「そんな全体主義は多くのケースにおいて新自由主義(ネオリベラリズム)となることから、無論、モビリティマネジメントの取り組みは新自由主義と対峙する側面がある」と補足した。新自由主義とは、政府の介入を最小限に抑え、市場原理に基づく自由競争を重視する思想である。市場原理を絶対とするのであれば、人口が少ない地域の赤字路線が存続できるはずもない。
なお、内閣や立法へのアクセスについては、藤井氏が国会議員や国土交通省の各部局、大臣ともつながっていることや、LRT(次世代型路面電車)の整備を行いたいと思っている参加者もいることから、その実現のために「JCOMMにパッションを感じた参加者が、国会議員の議連を作るなど、チャンスを活かして活躍してほしい」ということだった。藤井氏とJCOMMの今後の活動について注視していきたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら