現在の鉄道業界にはびこる「全体主義」の正体は? 「安倍政権の軍師」藤井聡氏が力説する公共交通像

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「JCOMMをきっかけとして交通問題の改善・解消のため内閣や立法へのアクセスを行いたい」――。

9月12日の13時から始まった基調講演に続くパネルディスカッションの中で藤井氏は、JCOMMの目標を力強く語った。

2023年の宇都宮大会からモビリティの考え方が社会に広まったのか、JCOMMの参加者が伸び始め、20回目の今回は過去最大の参加者数となったといい、藤井教授は「全国のモビリティマネジメントの取り組みが一堂に会することで、ポジティブなアイディアが広がることを願っている」とも述べた。

JCOMMのプログラムは、特別会議場で行われる講演・パネルディスカッション回と、展示ホールで行われるポスター発表回が、おおむね1~2時間のサイクルで交互に繰り返す形式で行われた。

ポスター発表で三岐鉄道北勢線の取り組みを語る名城大学の松本幸正教授(筆者撮影)

国内のさまざまな取り組みを発表

講演・パネルディスカッション回では、藤井氏の基調講演に加えて、北海道赤井川村の「路線バス撤退を契機とした村内モビリティのリ・デザイン」など、国内各地の取り組みもパネルディスカッション形式で発表された。さらに、ポスター発表会では、展示ホールに131枚のポスターが貼りだされ、それぞれのポスターの前で、個別に取り組みの発表が行われた。ポスター発表では、交通事業者や行政機関、コンサルタント会社のほか市民団体の発表なども行われており、筆者は京都丹後鉄道の鉄道事業再構築と利用促進の取り組みや三重県の特殊狭軌鉄道である三岐鉄道北勢線の今後の在り方に向けた調査発表が気になった。

9月12日の17時35分からは、国内のさまざまな取り組みや研究で特に優秀なものを表彰するJCOMM賞の発表も行われ7件が選ばれた。平成筑豊鉄道と北九州市立大学地域創生学群小林ゼミなどで行った取り組み「『平成筑豊鉄道』について遊びながら学ぼう!」は、JCOMMデザイン賞を受賞。実行委員会は、自然に鉄道に興味を持ってもらう仕掛けとして、神経衰弱やぬりえなどの遊びや学習形式を取り入れた誰もが遊べるコンテンツ群を豊富に作成し、地域住民のニーズなどを反映し商品化にも至っている点を高く評価したという。

北九州市立大学地域創生学群3年でプロジェクトリーダーの堂領茉凜さんに受賞について聞いたところ、「コンテンツ開発に向けての現地調査や商品化にあたってのデザインや価格交渉など学生自身で試行錯誤を重ねたが、地域の方々と関わる中で、鉄道が生活に根差した大切な存在であると知ることができた。今回の受賞は、学生だけでなく地域の方々と共に積み上げてきた活動が評価された結果と感じている」と振り返ってくれた。

左から、黄田花音さん(3年)、今村遥菜さん(2年)、プロジェクトリーダー・堂領茉凜さん(3年)、平成筑豊鉄道・河合賢一社長、北九州市立大学・小林敏樹教授、林鼓太朗さん(3年)、川原涼さん(2年)(写真:北九州市立大学地域創生学群小林ゼミ)
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