仕方がないので、自分の業務が終わっても残らざるを得ない。「『帰っていいよ』と言われるんですけど、帰ったら困るので誰も帰らないのが実情です」と早川さんは明かす。
「気の毒なのは、育児で短時間勤務をしている教員です。短時間勤務なのに業務調整も入っていませんし、決まったことを知らないと翌日から困ってしまうので、結局ほかの教員と同じ時間まで残っているんです。育児のために短時間勤務にしているのに、時間どおりに帰れず、保育園に預けているお子さんはいつも延長保育で、迎えにいくといつも1人で残っているから申し訳ないって言っていました」
「看護教員にはなりたくない」と学生の声
看護学校の教員になるには、看護師もしくは保健師、助産師として5年以上の実務経験が必要だ。つまり、看護教員は看護師として患者に向き合ってきたキャリアを持っている。
「それなのに、教員になると学生や周囲のことを考えなくなってしまう人がいるのは本当に不思議です。具体的には言えませんが、教員としてありえないふるまい、学生に対する態度を何度も目の当たりにしました。質の高い看護師教育をしているといわれる看護学校が、こんな状態だと知って本当にショックです」
早川さんだけでなく、学生も看護教員に厳しい目を向けているのだという。
「学生たちからは、看護師になっても絶対に看護教員にはならないと言われます。『先生同士で板挟みになって、嫌な思いをして、そんな大変な仕事やりたくない』って。そう思われても仕方がないと思います」
看護師不足が問題となっているが、看護師を養成するには看護教員が不可欠だ。なのに、質の高い教育をしていると評判の看護学校で、教員は非効率な業務と非合理的な残業で疲弊し、学生から「なりたくない仕事」と言われてしまっている。
命と健康を支える医療提供体制を守るために、この現実にどう向き合うべきなのか。早川さんが向き合っている看護学校のリアルは、医療の未来とも密接につながっている。
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