3年連続《日本の教員が世界一多忙》汚名返上へ…給特法改正で「働き方改革」義務化、「加速する学校と停滞する学校」を分けるのは"教育委員会"

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ただ、学校では翌朝遅めに出勤することが難しいときもあるので、運用上の工夫やルールの例を文科省や自治体で共有していく必要があるだろう。

④「3分類」たたき台に教職員が協議、できることに着手

今回、一部の業務は学校から切り離す、教員以外の担い手にシフトしていくといった業務の仕分け、3分類を更新して、指針に位置付けた。例えば、保護者等からの過剰な苦情等は「学校以外が担うべき業務」に、プール管理などは「外部委託等も積極的に検討」としている。

学校と教師の業務の3分類

「文科省は紙に書いて、やってくださいと各教育委員会や学校に言うだけだから、ラクなもんだよ」といった感想を持つ教育委員会や校長も多いかもしれないが、今回の3分類を参考に、あるいはたたき台の1つにして、自分たちではどんな業務をどうしていくか、具体策、各論を議論していく必要がある。

すでに会議の見直しや部活動の休養日の設定など、各学校等でできることはやっているが、この3分類にあることで、まだまだ未着手なものも多いのではないだろうか。

今回の各教委の計画づくりの際にも、また今後各校での取り組みを考える際にも、なるべく教職員が参加することを大切にしてほしい。最前線の学校現場では、いろいろな改善アイデアや気づいている問題があるものだ。トップダウン的な働きかけだけでは、参画意識は高まらず、やらされ感が募るものとなりやすい。

なお、私も参加した中教審でも確認したが、この3分類を参考に、各自治体・学校でもっと強力に進めたり、記載のないほかの業務も見直したりすることは大歓迎だ。以上、4つのポイントについて解説した。特効薬はないが、これらに気を付けて実行するだけでもだいぶ変わってくるはずだ。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
妹尾 昌俊 一般社団法人ライフ&ワーク代表理事、OCC教育テック大学院大学 教授

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せのお まさとし / Masatoshi Senoo

徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー。主な著書に『校長先生、教頭先生、そのお悩み解決できます!』『先生を、死なせない。』(ともに教育開発研究所)、『教師崩壊』『教師と学校の失敗学』(ともにPHP研究所)、『学校をおもしろくする思考法』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中。

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