近鉄がプロ野球でなく「ラグビー」を続ける意味 「ライナーズ」のカネ、練習、補強、鉄道との関係…

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リーグワンのチームには社員選手とプロ選手が混在する。外国人選手はプロ契約が多いが、日本人選手でもプロが少なくない。上位チームほどプロ選手が多く、下位になるほど社員選手の比率が増えるようだ。ライナーズには18人の社員選手がいる。

もっと資金を投じてプロ選手を増やしてはどうかと駒喜多部長に尋ねたら、「それでは寄せ集めのチームになって近鉄グループのカラーが失われる」と否定した。「社員選手が近鉄の社業をすることで、仲間を応援しようという気持ちになってくれる」。

この点は村下氏も同意見だ。それどころか、「社員選手を今より増やしてもD1の上位を狙える」と考えている。リーグワンの中には社員選手がフルタイムで仕事をした後に練習するというチームもあるというが、「我々の場合は社員選手といっても昔と比べればシーズン中は社業をする時間がかなり少なくなっていて、ほぼラグビーに専念できている。その点で社員とプロの差はあまりない」。

駅員を務める社員選手の日常

では、社員とプロの差と何か。それは休日の有無だ。「基本的なラグビーのサイクルは月、火曜に練習したら、水曜日は休み。木、金曜に練習して土曜に試合。日曜は休み。プロ選手は水曜と日曜は体のケアに当てているが、社員選手は社業がある。日曜に遠征して試合をして夜遅く帰宅しても、翌朝に駅員はホームに立つ。ハードだと思います」。

近鉄ライナーズ 松田一真選手 駅員
生駒駅の駅員として勤務する松田選手(記者撮影)

松田選手も社員選手の1人だ。ポジションはフッカーという1列目の中央に位置するスクラムの要だ。コンタクトプレーが多く、試合後の消耗度は相当なものだ。社業では生駒駅で駅員を務めている。プロ選手が休んでいる日に社員選手は働いているという状況を「大変です」とこぼしつつも、「試合になると職場のみんなが応援に来てくれることが励みになる」と笑顔で話す。

リーグワンD2の「NECグリーンロケッツ東葛」を運営するNECは今季終了後にチームを譲渡する方向で検討を始めたと発表した。「我々もいつそうなるかわからない。勝ち続けるだけでは足りない。もしスポーツが嫌いという人がトップになったら『必要ない』と言われてしまうかもしれない。だからこそライナーズがいるから社員の絆が深まったと言われたいし、地域からもライナーズがいてよかったと言われたい。会社にとって必要だと認めてもらえるようにつねにアンテナを張りながら、それに応える活動をしていきたい」。それまで笑顔で話していた村下氏がこのときばかりは真顔となった。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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