日本橋茅場町に「約17㎡の田んぼ」、都会の小学校ならではの特色を生かして企業と連携"都市型環境教育"の中身

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「体験は純粋に楽しい活動であり、子どもたちの学ぶ意欲を大きく高めます。そして何より、教科書では決して得られない『実感を伴う学び』こそが貴重なのです」(髙松校長)

髙松由貴 中央区立阪本小学校校長
髙松由貴(たかまつ ゆき)中央区立阪本小学校校長(写真:筆者撮影)

座学やICTによるバーチャル的な学びが中心になりがちな現代の教育において、土の感触、稲の重さ、糠の匂いといった五感を通した学びは、知識を「納得して理解する」ための土台となる。食と農のつながり、そして環境の大切さ。これらは座学だけでは頭でっかちになりがちだが、自ら育て、刈り、精米し、「お米」になるプロセスを体験することで、命や食への感謝として心に刻まれる。

多くの大企業が集積する日本橋兜町・茅場町エリアという地域特性を生かし、阪本小学校では、企業や団体との協働を積極的に推進している。髙松校長は言う。

「この都会の真ん中で、地域全体を『生きた学びのフィールド』として捉えています。体験農や食を通して広がる学びこそが、都市に暮らす子どもたちが主体的に課題を見つけ、解決する態度を育むことにつながると確信しています」

屋上田んぼがつなぐ、企業と学校の「米文化の絆」

プレナス米食文化研究所所長の八谷氏は、阪本小との協働について、こう語る。

「『お米の文化を、より多くの方に身近に感じていただきたい』。これが、会社としての強い思いでした。これをどうすれば具現化できるか考えていた時、たまたま空いていた弊社の屋上スペースに、田んぼを作ろうという発想が生まれたのです。社員がリアルな農業体験を通じて自社の事業の理解を深める場としてスタートしたのですが、同じころ、阪本小学校さんとのご縁を得る機会がありました。

いろいろお話しする中で、この屋上の田んぼの活動を、社員のみならず未来を担う子どもたちと一緒に展開すれば、より『米文化の伝承』という目的の価値を最大化できるのではないかと考え、相談させていただきました」

当時の校長の理解も得られ、2020年から協働が実現。「茅場町あおぞら田んぼプロジェクト」として、今年で6年目を迎える。

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