前加賀市教育長・島谷千春氏が「教育改革は、組織マネジメントに行き着く」と語る深い理由――<子どもに委ねる学び>に必要な教員研修とは?

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さらに研修プログラムによっては、学校の課題解決に伴走するために、対面での集合研修で集中的に学び、その後は数カ月ごとにオンラインで成果や課題を共有し合う1~2年間の「インターバル型研修」も実施している。

「研修では、それぞれ特定の学校課題について話し合っていたとしても、結局は職員間の人間関係や組織のあり方の問題に行き着くことが多いです。また、立場が上になるほど思考の癖や教育観などはなかなか変わりづらくなるため、とくに管理職ほど探究型の研修で新しい視座を入れることが大切です」

「研修観の転換」を図る新プログラムも始動

またNITSでは、2025年度から「研修マネジメント力協働開発プログラム」(以下、マネプロ)を、全国を7ブロックに分けて実施。これは、“教職員の研修を担当する人のための研修”で、センターの指導主事をはじめ、学校の研究主任なども対象としている。

マネプロ
東海北陸版研修マネジメント力協働開発プログラム(写真:NITS提供)

マネプロは研修マネジメントに関するテーマを設け、参加者は対話や内省をしながら研修のあり方を模索する。希望すれば誰でも参加できるので意欲のある教員が集まり、どのブロックでも熱気に包まれるという。

マネプロの狙いについて島谷氏は「研修観の転換」だと説明する。

「先生や授業が変わるためには、研修もアップデートしなればいけません。教育界は前例踏襲が多く、県ごとに文化も違うので、県域を越えると違う風が入ってきやすく、驚きや学びも大きい。そして何より新しい挑戦には『試行錯誤』と『仲間』が必要なので、コミュニティーづくりをしながら研修観の転換に向けて、みんなで試行錯誤できる環境を作っていきたいです」

子どもに委ねる学びに取り組む自治体も増えてきたが、そうした学びを未知のものと捉える現場はまだまだ多い。しかし、次期学習指導要領の論点整理でも「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」することが基盤とされており、授業改革や研修観の転換は急務だといえる。そんな過渡期の今こそ、立場や経験値、地域なども越えて対話を重ねることで見えてくるものがあるのではないだろうか。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
吉田 渓 フリーライター

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よしだ けい / Kei Yoshida

神奈川県出身。大学在学中からフリーライターとして執筆活動を開始。近年は心と身体、教育、ワークスタイルなどを中心に執筆を行う。ライフワークは農業や漁業にまつわる言い伝えや桜の言い伝えを調べること。著書に『働く女のスポーツ処方箋』がある。

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