前加賀市教育長・島谷千春氏が「教育改革は、組織マネジメントに行き着く」と語る深い理由――<子どもに委ねる学び>に必要な教員研修とは?
一斉に改革を進めた結果、教員たちに生まれたのが「あの学校も頑張っているから頑張ろう」という意識だ。「集合研修で教員同士が顔を合わせると『あの学校も悩んでいるんだ』『うちも負けていられない』なんて言葉も聞かれました。団体戦であったことや仲間の存在が、学びの改革を後押ししたことは間違いないと思います」と、島谷氏は振り返る。
一方で、学校に大きな転換を求めるということは、その“指導”を行ってきた教育委員会もまた、変わる必要があるということだろう。
「指示や権力で相手を変えようとせず、先生の思いを大切にしながら行政が示す大きな方向性に一緒に向かうことを大切にしてきましたが、伴走チームや指導主事もつねに悩んでいましたね。
何を持って伴走というかは人によって違いますし、『無理に引っ張ってしまったのでは』と葛藤し、試行錯誤の繰り返しでした。教育委員会と先生の関係もまた、先生と子どもたちの関係との相似形なのです」
教育改革は「組織マネジメント」に行き着く
教育長の任期を終えた島谷氏は2025年4月から教育支援機構(NITS)審議役として教員向けの研修を手掛けているが、「教育改革とは、結局、組織マネジメントに行き着く」と、島谷氏は語る。
とくに今は中堅層が少なく若手が多い学校が増え、校長の組織マネジメント力が問われる時代となった。ここは多くの管理職の悩みだが、管理職になる前にマネジメントを学ぶ機会がほとんどないのが実情だ。
そこでNITSは、校長研修、副校長・教頭研修、次世代リーダー育成と職階別で行っている中央研修において、どの階層でも必ず組織マネジメント力のプログラムを組み込んでいる。


















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