自民と維新の連携合意で一件落着ではない? 高市内閣発足"確実"でも終わらない「地雷だらけ政局」の深層
今回の“大政局”を振り返ると、「各党の利害の交錯が、出たとこ勝負の複雑怪奇な展開につながった」(政治ジャーナリスト)ことは否定できない。表面的には「当初から高市首相か玉木首相の2択」とされていたが、その裏側で「自民党内の『高市潰し』と野党の『玉木潰し』のうごめきが事態をより複雑化させていた」(同)との見方が少なくない。
自民党内では、「露骨な反公明シフト」(閣僚経験者)となった高市新執行部に対し、反高市派の議員には「地方議会での自公連携を考えれば、今回の公明党の連立離脱は次期衆院選で自民党の致命傷になりかねない」(若手議員)との不満が鬱積していたとされる。ただ、高市新執行部発足を受けた両院議員懇談会では、「自民党政権の維持が最優先との意識から、『高市潰し』は表面化しなかった」(自民党長老)という。

一方の野党陣営も、立憲民主党の野田佳彦代表が早い段階から「首相候補に玉木氏を擁立」との考えをにじませたが、野党内では「玉木氏が受けても、首相にはなれないと見越した『玉木潰し』の策謀」との見方もささやかれていた。だからこそ、「それを察知した玉木氏も、あえて立憲が飲めない要求を突きつけて“最悪の事態”を回避した」(国民民主党幹部)のが実情とされる。
維新内に「連立より閣外協力」の声が台頭
こうした複雑怪奇な展開が、21日に発足予定の高市新政権の前途に不透明感をもたらすことは間違いない。そのため、自民党との合意に突き進んでいる維新の内部からも「自維連立を急がず、当面は閣外協力にとどめて、様子をみるべきだ」(有力議員)との声が台頭しているようだ。
これに対して高市総裁は「政権安定化のためにも、自維連立が極めて重要」(側近)として、水面下で維新側に「閣僚2ポストと一定数の副大臣・政務官の起用を提案している」(同)とみられる。だが、「そのこと自体が維新側の疑心暗鬼につながっている」(政治ジャーナリスト)と見る向きもある。
そうした中、高市総裁は21日の首相指名・組閣をにらんで「所信表明と新内閣の陣容づくりに没頭している」(側近)とされる。ただ、その助言者となる秘書官グループは「決まったばかりで、現時点で高市氏の意向を確かめることに汲々(きゅうきゅう)としている」(官邸関係者)。
こうした事情から、自民党内の多くの有力者たちは「まずはお手並み拝見」の姿勢。「高市新内閣の支持率が高ければ協力するが、補正予算の処理や物価対策でつまずけば、ひそかに『高市降ろし』を仕掛ける」(主要閣僚経験者)構えとされる。自維連立の可否も含め、高市新政権は発足直後から「手足を縛られた障害物競走を余儀なくされる」(政治ジャーナリスト)ことになりそうだ。
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