「母子家庭、不登校、通信制への転校などはネガティブな要素かもしれませんが、ほかの人が持っていない強みでもあると思います。こうした背景でもさまざまなことに挑戦している自分の生き方を伝えることで、誰かの背中を押せる存在になりたいです」
天津さんの講演を聞いた高校生からは、「自分も母子家庭だが、留学に挑戦してみたい」といった感想を寄せられることが少なくないという。
学校現場に提言したいことについて尋ねると、次のような答えが返ってきた。
勉強は運動が得意ではなくても
「勉強ができる子や運動ができる子だけが注目されるのではなく、1人ひとりの長所も短所も尊重されることで、子どもたちが伸び伸びと生きられる環境になってほしいです。今は目立たない子であっても、将来、社会に対して大きなインパクトを与える人になるかもしれないので、先生方はいろいろな子に目を向けてあげてほしいと思います」
逆境にくじけることなく、天津さんをここまで突き動かしてきた原動力は何なのだろうか。
「課外活動でも、教育にお金をかけてもらっている同世代の人たちに出会いましたが、自分がそうした恵まれた環境にないことを理由にやりたいことを諦めたくないと思いました。実は2度目のトビタテに応募したときも直前に大失恋しているのですが、『負けたくない』という思いが前に進む力になりました。この負けず嫌いな精神が、私の原動力です」
困難な経験は夢を諦める理由にもなり得るが、それを力に変えることができれば人生を切り開く糧にもなる。天津さんが描く軌跡は多くの人々に勇気を与えることだろう。

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