費用のやり繰りも自力で乗り越えた。航空券の手配などはエージェントを通さず自分で行い、宿泊費もインターン先が運営する宿を利用して1日2000円程度に抑えた。現地では、弁当は1食100円程度、デリバリーも1食800円程度と食費は安く、最終的に、トビタテから支給された留学準備金21万円と滞在中の毎月の奨学金12万円、通信制高校のプレゼン大会で好成績を収めて獲得した留学支援金20万円で、全費用を賄えたという。
1カ月間の留学を通じて、価値観は大きく変わった。
「スリランカは道路も整備されておらず、生活環境が整っているとは言えません。日本と異なる環境を経験したことで、嫌なことがあっても『いいや』と流せるようになり、心が広くなったと思います。『スリランカに行った女子高生』というアイデンティティを得て、自信が持てるようにもなりました」
「誰かの背中を押せる存在になりたい」
帰国後は留学経験をアピールできる総合型選抜で大学受験に臨んだが、第1志望の大学は不合格。それでも諦めず、ChatGPTで出願が間に合う総合型選抜の情報を収集し、広島大学教育学部の総合型選抜(広島大学光り輝き入試)に挑戦した。
出願締切まで1週間しかない状況でも挑戦できたのは、留学を通じて「何とかしよう」と思える精神力が身に付いたからだという。面接試験にはスリランカのサリーを着て臨み、留学で得たことを語って合格を勝ち取った。
大学入学後、天津さんはトビタテに再び応募して採用され、2026年に2度目のスリランカ留学を予定している。次回は11カ月間、現地に滞在して、サステナブルファッションを展開する団体でインターンをしながら、前回ボランティアをした幼稚園で教育プログラムの企画・実行に取り組む計画だ。
将来的にはスリランカでアパレルブランドとスタディーツアービジネスを立ち上げ、現地の雇用創出と教育支援を実現させることを夢見て、現在は起業に向けた学びや人脈づくりにも取り組んでいる。
また、トビタテでの留学経験者として、各地の高校での講演活動も積極的に行っている。

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