「特別支援学校化」する定時制高校、誰一人取り残さない…教員を追い込む"呪いの言葉" 7〜8割が不登校経験、何らかの困りごと抱える

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一方で、生徒が生きる力を身につけられない責任は、教員にもあると指摘する。

「世の中的な風潮もありますが、生徒に寄り添っているつもりで『そのままの自分でいいよ』と言う教員があまりにも多すぎる。困りごとを抱えて、厳しいメンタルにある生徒の命を一時的に守らなければならない場面であれば仕方ありません。でも『やりたいことだけやればいい』みたいな状況がずっと続けば、そこから抜け出せません。子どもがチャレンジする機会を奪っているも同然です。そのままでいいわけがない」

高校までは“合理的な配慮”や“特別な支援”が受けられても、その後に配慮も支援も一切ない社会に飛び込んでいく子どもたちに対して、どんなケアができるのか。“特別支援学校化”した高校で、大塚さんが教員として模索し続けた答えが「アルバイト」だったという。

「保護者は『子どもが高校に入れてラッキー』と思うかもしれないが、学力も意欲もないのに3年間も高校に通うのは相当しんどいと思います。それよりも『社会に出てからどうするのか』という、その先の視点が欠けていませんか」

さらに、社会に対してもこう訴える。

「世の中も高卒資格やコミュニケーション能力を過度に重視していませんか。生徒の中にはコミュニケーションを取るのが苦手でも、一つの作業に根気強く打ち込める強みを持っている子はたくさんいます。『多様性』と言いながら、どんどん社会が画一化しているように感じます。これだけ出口が絞られると、もはや社会全体の問題だと思います。学校にできることには限界があります」

(注記のない写真:Fast&Slow / PIXTA)

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東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
中野 龍 フリーランスライター・ジャーナリスト

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なかの りょう / Ryo Nakano

1980年生まれ。毎日新聞学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。新聞や週刊誌で著名人インタビューを担当するほか、社会、ビジネスなど多分野の記事を執筆。公立中学校・高校で社会科教諭(臨時的任用教員)として勤務した経験を持つ。

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