排外主義が強まる時代に、子どもたちに「人権」を教える教員だからできること 人権を学ぶと「誰もが大切で尊い存在」と気づく
国際人権基準を実現するための核となるのは人権条約だが、日本が締結した人権条約は、内外人平等の原則(国内に居住する外国人に対しても、日本人と同様の権利や待遇を保障すべきというもの)に立っており、自分が日本社会にいていい存在なのだと確信できたという。
人権は「思いやり、優しさ」ではなく法律で守られる権利
では、「人権」とはなんだろうか。よく耳にする言葉ではあるが、日本では例えば「怪我をして困っている人がいたら、声をかけて助けてあげよう」というように「人権=思いやり、優しさ」と道徳的に理解されることが多い。
しかし、世界人権宣言によるとその第一条に「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない」と記されている。
ヒューライツ大阪は国際人権基準を普及する活動をしている団体であるが、学校での講演や教員の研修に携わってきた朴氏はこう話す。
(一財)アジア・太平洋人権情報センター(愛称 ヒューライツ大阪)設立時(1994年)からの職員で、現在は事務局長。大阪で生まれ育ったコリアン3世、韓国籍。大阪外国語大学(現、大阪大学)外国語学部朝鮮語学科卒業後、民族差別をなくすための地域活動に参加した。共著として『マイノリティ・ライツ:国際基準の形成と日本の課題』(現代人文社)、『在日コリアンを知るQ&A:多文化共生への55のヒント』(解放出版社)など。最近は、在日コリアン女性をはじめマイノリティ女性の複合差別の問題に関心を持ち、調査研究や社会活動にかかわっている
(写真:本人提供)
「人権は思いやり、優しさで成り立っているものではなく権利であり、権利を守るためには法律が必要。人間は一人ひとりが人種、性別、国籍、民族、宗教などの違いにかかわりなく、尊く大切な存在です。
それを知らなければ、自分が差別されたとしても人権を守られていないのだと気づくことすらできません。すべての子どもが、幼少の頃から人権についてしっかりと学んで理解する必要があります。人権は決して、わがままで自分勝手な人を生み出すものではないのです」(関連記事)
つまり、誰もが持つ人権は権利であり、法律で守られているということだ。そうはいっても子どもに人権について教えることは非常に難しい。
「世界人権宣言は、自分が持っている人権を知るための基本の文書です。でもその内容を子どもに話すだけでは、なかなか自分のものにならないと思います。例えば『あなたは人権を持つ大切で尊い存在。それと同じように隣にいる人も人権を持つ大切で尊い存在。

















