排外主義が強まる時代に、子どもたちに「人権」を教える教員だからできること 人権を学ぶと「誰もが大切で尊い存在」と気づく
歴史や政策を含めたさまざまな視点からの学びは、在日外国人に対するイメージと理解に厚みを生むはずです。さらに両親のいずれかが日本人などミックスルーツの人は、日本国籍とほかの国籍を持つ複数国籍の人である場合もあります※3。海外にルーツがあるが、帰化などによって日本国籍を取得した人たちも相当数に上ります。そもそも誰がどんな場合に日本の国籍を取得するのかは法律が変われば変わるものなのです。外国人と日本人の境界はグラデーションで考える必要があるでしょう」
日本人は日本にいる海外ルーツの人を、「助けてあげないといけない人」「支えてあげないといけない人」など、弱い立場の存在として捉えがちだ。
「言葉も文化も異なる異国の地に来て人生を切り開こうと挑戦している人はパワーと進取の精神に満ちた人です。日本の事情についてわからないことを教えることは必要ですが、『してあげるだけ』という視点を変えて、相互に学ぶべきことがたくさんあると思うのです。
はじめに述べたように外国人に対する不寛容な空気が社会に流れていますが、外国人がこのように急激に増えているのは、この社会が働き手を必要としていることが一番の理由でしょう。外国人が同じ社会に生きて、ともに社会をつくる隣人だと認識することが当たり前になる教育が行われることを期待します。人権の視点を持った多文化共生の社会の実現に向けての教育です」
教育を通して、誰もが持つ人権や異なるルーツの人とともに生きることについて子どもたちが理解すれば、この先、誰もが尊厳を持って生きられる社会に一歩近づくだろう。
(文:酒井明子、注記のない写真:buritora / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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