「AI関連に興味なし?」ウォーレン・バフェット《現金50兆円》トランプ関税ショック期間中の気になる投資行動が判明

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バークシャーが多額の現金・現金同等物を積み上げている理由として考えられる第2は、年末に予定されるCEO交代を睨んだ動きということであろう。

バフェットの後任に指名されたのはグレッグ・アベルである。アベルはカナダ生まれ、会計士出身の実務家で、現在エネルギー部門子会社のCEOとバークシャー本社の副会長を務めている。

バトンタッチでバークシャーはどう変わる?

バフェットは、複合企業バークシャーの経営者として長年君臨してきたが、本質的には投資家である。各部門や投資した会社の経営はそれぞれの経営者に任せ、資金配分やリスク管理に注力する。

対してアベルは、投資家ではなく、実務的な経営者タイプだ。すでにバークシャーは事業部門の比重が概ね半分程度に達しており、年々コングロマリットとしての色彩を強めている。事業部門のうち非保険事業を統括するアベルへのバトンタッチは、バークシャーのそうした方向性を一層強めるものといえるだろう。

バフェットからアベルへのCEO交代、割高な株式市場への慎重姿勢などから見て、バークシャーが豊富に抱える現金・現金同等物の次なる主要な振り向け先は、事業部門の強化を図る企業買収となるのではないか。

市場では、その候補の一つとして、大手鉄道会社CSXが取りざたされている。もしこれが実現すれば、今月30日に95歳となるバフェットにとって最後のビッグ・ディールとなる。

いずれにしてもバークシャーは、投資の神様が率いる伝説的な投資会社から、優良だが普通の複合企業に移行していく過程にある。実務家のアベルがCEOになることはその象徴だ。

バフェットは会長職にはとどまるので、有名な“株主への手紙”は何らかの形で存続するかもしれないが、いずれそれも公表されなくなれば、バークシャーの決算が投資家の耳目を集める一大イベントとなることも過去の話となっていくはずである。何ともさみしい限りではあるが、時代の移り変わりとはそういうものであろう。

田渕 直也 ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役

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たぶち・なおや / Naoya Tabuchi

1963年生まれ。1985年一橋大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行に入行。海外証券子会社であるLTCB International Ltdを経て、金融市場営業部および金融開発部次長。2000年にUFJパートナーズ投信(現・三菱UFJ国際投信)に移籍した後、不動産ファンド運用会社社長、生命保険会社執行役員を歴任。現在はミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。シグマインベストメントスクール学長。著書に『金融と投資のための確率・統計の基本』など多数

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