「AI関連に興味なし?」ウォーレン・バフェット《現金50兆円》トランプ関税ショック期間中の気になる投資行動が判明

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

クラフト・ハインツは、2015年にバークシャーが主導した老舗食品会社同士の合併で誕生した会社である。チーズやケチャップなどで多くの有名ブランドを抱え、株価も割安なバフェット好みの銘柄のはずだったが、その株価は低迷を続けてきた(下チャート)。バフェットにとっては数少ない失敗案件とされる事案である。

もっとも、グラフからも伺えるとおり、クラフト・ハインツの株価低迷は今に始まったものではない。今回の大幅減損処理は、これまで時価ベースでの評価損を反映させてこなかったことに対して、株価の大幅回復は今後も難しいと判断して、いわば見切りをつけたものと考えられる。

評価を時価に近づけることで、株式の売却や事業再編がやりやすくなる。新経営体制への移行に先立ち、負の遺産を整理しておくという意味合いのものであろう。

ブーム化する株式市場には慎重姿勢を維持

次に注目された現金・現金同等物の保有状況であるが、6月末時点で3440億ドル(およそ50兆円強)と依然として高水準で、全資産の29.6%、運用資産に占める比率でいえば52.7%にまで達している。昨年来、大きな投資を控え、自社株買いも見送っている結果だ。

巨額のキャッシュを貯め込んでいる理由として考えられるのは、第1に、株式市場全体が割高になり、腰を据えて長期的に投資をする対象がなかなか見つからないということであろう。

バフェットの投資スタイルは、短期的なブームに流されず、長期的な企業価値に着目して投資するというものだ。現在の株式市場のけん引役はAIを始めとするハイテクセクターであるが、とにかく株価は軒並み割高だ。

たとえばAIブームの主役であるエヌビディアの予想株価収益率(PER)が41倍なのはまだいいとして、株価急騰を続けるデータ分析会社のパランティアは294倍にもなる。どちらも利益が急成長しているので全く実態が伴っていないわけではないが、将来の利益成長の多くを先食いしている懸念も強い。さらにいえば、業績が低迷気味のEV大手テスラですら、予想PERは185倍となっている。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事