最大マイナス30℃の冷却グッズも登場!"義務化元年"の「猛暑対策製品の展示会」がガチでスゴすぎた

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WBGTは温度や湿度をもとにした客観的な指標であり、個人の特性や体調によって、身体に及ぼす影響は異なる。その、個人単位でのリスク管理にフォーカスしたのが、医療機器メーカーのミツフジが開発したウェアラブルセンサー「hamon band」だ。

通信不要で、手首に装着するだけで深部体温の変化や心拍数をモニタリング。熱中症の兆候を本人と管理者に通知する。ミツフジの担当者は「この『hamon band』を導入後、熱中症による事故がゼロになった企業も出ています」と語る。

一見すると元気そうでも、体内の変調は静かに進む。この「サイレントキラー」の予兆をデータで捉える技術は、とくに一人作業が多い現場や、自己申告が苦手な従業員を守るうえで不可欠なツールとなるだろう。

施設を効率的に冷やす「巨大ファン」と「大型換気扇」

ワーカー個人に着目した対策と同時に、空間そのものをいかに快適に保つかも重要なアプローチだ。とくに、空調の設置が難しい大規模な工場や倉庫、体育館などでは熱気がこもりやすく、集団での熱中症リスクが高まる。

「猛暑対策展」の会場でひときわ圧倒的な存在感を放っていたのが、ニッシントーア・岩尾の「ヘリコプターファン(シーリングファン)」だ。その名のとおり、ヘリコプターのプロペラのような巨大な羽根がゆっくりと回転し、大空間に対流を発生させる。

ヘリコプターファン
会場内でひときわ目を引いたニッシントーア・岩尾の「ヘリコプターファン」(写真:筆者撮影)

肌に感じる優しい風は体感温度を5℃以上も下げるといい、エアコンと併用すれば大幅な省エネにもつながる。「昨今増えている、EC物流倉庫で多く導入いただいています」と担当者はほほを緩ませる。

負けじと存在感を示していたのが、フナボリの「大型換気扇」。大型送風機の製造・販売を手がける同社では、大型換気扇によって熱い空気を外に放出し、冷風扇によって外気よりマイナス4~9℃の冷たい空気を送り込む「PUT IN PUT OUT」(空気の出し入れ)を提案している。

建物の「外」から対策するアプローチもある。福岡県の遮熱・断熱塗料メーカー、ムライケミカルパックの「ケミカルカチオンパック工法」は、3段階の塗装技術によって完全防水・補強効果と遮熱効果を同時に実現。2ミリメートルの厚さで塗るトップコート(仕上げ塗装)が、夏場のスレート屋根の表面温度をマイナス25〜30℃、室温はマイナス4~5℃低減するという。こうした「外」からの遮熱対策を「中」からの空調対策と組み合わせることで、冷却効果は格段に向上する。

工場や倉庫といったビジネス用途だけでなく、学校現場においても文部科学省が「空調設備整備臨時特例交付金」を創設し、学校体育館などへの空調整備を促進している。その意味でも、各メーカーにとっては今がまさに書き入れ時だ。ムライケミカルパックの担当者も「最近では学校現場からの問い合わせも非常に増えています」と話す。

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