大学の年内学力入試、関東でも「今年も実施」の条件と各大学の配点など<動向まとめ> 学科試験計200点、小論文と調査書は各10点も

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2024年12月、東洋大学が学力試験だけで合否を決める推薦入試を実施して物議を醸した。年内の学力試験の実施は、大学入学者選抜実施要項が定める試験期日に反しているという指摘が相次いだからだ。しかし、同大学は2026年度入試も、とある条件のもとで、年内の今年11月30日に試験を実施することを公表している。いったい、この1年でどのような流れがあったのか。文部科学省の見解や他大学の動向とあわせて、受験ジャーナリストの杉浦由美子氏がまとめた。

年内学力入試の需要は「模試代わり」「受験戦略」

昨年2024年、東洋大学が学力試験(国語か数学と英語の2科目)の得点のみで合否を決める推薦入試を12月に行い、2万人の志願者を集めた。その前の11月には大東文化大学も同様の入試を実施している。

杉浦由美子
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)
ノンフィクションライター/受験ジャーナリスト
教育を中心に取材をしている記者。現在はダイヤモンド教育ラボ、小学館マネーポストなどの WEBサイトや週刊誌で記事を書いている。 著作は『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)など多数
(画像は筆者提供)

しかし、「学力試験の点数のみで合否を決める入試」は、大学入学者選抜実施要項の「試験期日は2月1日から3月25日までの間」というルールに反しているという苦情が出てくるようになった。

そこで文部科学省は、東洋大学と大東文化大学に「学力テストのみの入試を実施する期日を守る」よう指導し、全国の大学にも「学力試験のみで合否を決める入試を年内に実施する大学が散見されている」と、試験の実施期日を守ることを求める通知を出した。

この通知は全国の大学で大きな波紋を呼び、とくに関西の私立大学や高校・塾・予備校は混乱に陥った。なぜなら、関西の私立大学ではすでに、「学力試験のみで合否を決める学校推薦型選抜(学校長の推薦が必要な公募制の推薦入試)」、つまり年内学力入試を長年行っていたからだ。

近畿大学入学センター事務部長・河原陽子氏は言う。

「近畿大学では1968年度から学力テストを課す公募制の学校推薦入試を行っています。1992年度には面接を廃止し、翌1993年度には評定平均値の点数化を廃止しました」(※)

近畿大学だけではない。関西では、難関私大の関関同立(関西大学、関西学院、同志社、立命館)を除くほぼすべての大学が、学力試験による公募制推薦を実施してきた。中でも、産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)摂神追桃(摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学)などの中堅有名大学は、評定平均値を加味せず学力のみで合否を決めることで受験生を増やしてきた。

近畿大学の年内学力入試は、志願者が5万人に達する大規模なものだ。ほかの私立大学も、年内学力入試を経て多くの学生が入学している。これらの年内学力入試は併願が可能で、合格しても入学を辞退することができる。そのため、2月の一般選抜を目指す受験生にとっても、前哨戦として負担感なく受験できるものだった。

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