大学の年内学力入試、関東でも「今年も実施」の条件と各大学の配点など<動向まとめ> 学科試験計200点、小論文と調査書は各10点も

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さて、目を引くのがその配点だ。2教科(国語または数学と、英語)2科目の学科試験は100点ずつで合計200点なのに対して、小論文は10点、調査書は10点という配点なのだ。

この配点では、ほぼ「2教科のペーパー試験で合否が決まる入試」にも見える。しかし、東洋大学はあくまで基礎学力に重きを置きながらも多面的な評価をする入試とし、「小論文を事前提出にしたのはしっかりと採点をするため。当日に小論文試験を行うと、採点が合格発表までに間に合わないから」だと述べている。

とはいえ、小論文が事前提出となれば、「試験会場で決められた時間内で書き上げる」ための対策もいらない。そのため、一般選抜に向けて勉強をしている受験生がチャレンジしやすい入試になるのが実情だろう。

神奈川大学・大東文化大学の動向、9月実施の大学も

他の大学はどうだろうか。昨年、東洋大学とともに年内学力入試を行った神奈川大学・大東文化大学を見ていこう。

まずは神奈川大学だ。

2026年度入試では、総合型選抜(適性検査型)を11月16日に行う。配点は、国語または数学と英語が100点ずつ、そして“調査書全体の評定平均値×10”を点数化(満点の場合は50点)するようだ。調査書の配点が比較的大きいが、「本学の場合、高校の成績(評定平均値)と大学入学後の成績(GPA)には一定の相関関係があり、評定平均値が高い高校生は、基礎学力が備わっているだけでなく学習習慣も身についていると判断した」(神奈川大学 入試事務部 西川朋実 次長)からとのことだ。

また、昨年東洋大学と共に注目を浴びた大東文化大学入試センター所長の堀川信一法学部教授はこう語る。

「弊学で年内に基礎学力テストを課すタイプの総合型選抜を行うのは、受験生や高校からニーズがあるからです」

大東文化大学は、学力試験を課す総合型選抜(基礎学力テスト型)を11月23日に行う。受験内容は国語か英語、数学か英語の2教科。配点は、学力試験が2教科で200点、調査書25点、小論文25点だ。

大東文化の年内学力入試の特徴は、入学金の納入が2月25日までという点だ。つまり、それまでに合否が発表される一般選抜の結果を見てから、大東文化大学に進学する場合のみ入学金を支払えばいい。

2026年度東洋大学、神奈川大学、大東文化大学の年内入試

この年内学力入試には批判の声もあると聞くが、取材先の高校で尋ねると、意外と歓迎の声も多かった。「年内に試験があると、一般選抜組の生徒の気が引き締まります。そういう意味で、年内の学力試験型の推薦入試はありがたい」という高校側からの意見もある。

なお、東京家政大学は9月14日、桜美林大学は9月27日、共立女子大学は9月28日と、9月に年内学力試験を行う大学も存在する。

2026年度その他大学の年内入試

少子化の中、大学側は受験生に少しでも注目してもらいたいという思いがある。年内学力入試がそのきっかけとなるならば、大学にとっても受験生にとっても有意義なものなのだろう。

(注記のない写真:tkdphoto/PIXTA(左)、ONISHI/PIXTA(右))

執筆:受験ジャーナリスト 杉浦由美子
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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