奈良教育大附属小から突然の知らせ…全国の国立大学附属学校・幼稚園で「規模縮小」の深刻 教育大学が「稼げる大学」にはなれない?!
「大学と一体になって先導的な教育を実践・開発し、地域のモデル校として教育実践を広げていくこと、そして教育実習校と教員研修に貢献する役割があります」
そのためには、募集定員が減り、学級数が減ることによる影響は大きい。学級ごとの個性があり、同じ実践でも違いがでてくるもので、その違いを比較して次の実践につなげていくことも教育研究には重要な要素となるからだ。もちろん、教育研究には検証対象は多いほどいいわけで、定員や学級の縮小の影響は大きい。
こうした縮小の方針を示したのが、2016年8月に設置された「国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議」である。2017年8月には報告書が提出されている。
そこには「附属学校の規模と役割の見直し」として、「国立大学附属学校の在り方は、国立大学をめぐる財政状況や、国立教員養成大学・学部の在り方と密接に関連する」と記してある。「財政状況」に合わせて規模を縮小する必要があるというわけだ。
こうした縮小方針に抗うためには、附属学校園の存在価値をアピールしていくしかない。そこで各附属学校園では、さらに特色を明確にして強化していくための改革案づくりが進められ、実践されていく。
ところが、2019年末から新型コロナウイルス感染症が流行し、2020年2月下旬には政府が突然、全国の学校に一斉休業を要請したこともあり、学校の運営はほぼストップ状態になってしまった。附属学校園も例外ではない。
そのため、生き残りをかけるはずの改革の実践が停滞することになってしまった。それでも大学運営費交付金の削減が続くことによって大学の運営難は深まり、そのシワ寄せが附属学校園に及んできている。
附属学校園には、その役割を強め、アピールして広く認識されることが求められている。それができなければ、縮小どころか、国立大学附属学校園の存続自体にもかかわっていくことだろう。
(注記のない写真:奈良教育大学附属小学校資料)
執筆:フリージャーナリスト 前屋毅
東洋経済education × ICT編集部
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