教員不足で 「ペーパーティーチャー」争奪戦、各自治体が独自アイデアでしのぎを削る 長時間労働に懸念の声、登録してもらうには
労働環境については、神奈川・埼玉県の担当者はともに「学校の働き方改革はかなり進んできましたが、改善しなければならない課題は多いと考えています。県としてできることをやるとともに、教員という仕事の魅力を発信し続けていきたい」と、改善をアピールするが、県だけでは解決できない問題もあることをにじませた。
社会人だけでなく、中高生など若年層の囲い込みも
教員不足の危機感からペーパーティーチャー獲得に動いているのは、神奈川県・埼玉県だけではない。近年は各都道府県に加え、政令指定都市や中核市なども独自にペーパーティーチャー向け説明会を開くなど、全国的な広がりをみせている。
こうした状況を受け、埼玉県は「ペーパーティーチャーセミナーを例年9月から開催していましたが、今年度は前倒しして5月に開催しました。告知も県の広報紙だけでなく、より多くの方の目に留まるように、県と包括的連携協定を結ぶ大型ショッピングモールや銀行などの企業にもポスターを掲示させていただきました。今後もより多くの方に参加していただけるよう工夫していきたい」と、早期開催や地道な広報活動でペーパーティーチャーの採用を強化している。
一方、神奈川県は「教員志望の大学生や社会人向けの取り組みだけでなく、『中学生のための教職セミナー』を年1回、『高校生のための教職セミナー』を年6回行っています。教員という仕事に興味を持っていても、教育大学や教育学部に進学しなければ教員免許が取得できないと思っている生徒もいるので、正しい情報発信に努めたい」と、より若年層をターゲットにした囲い込みにも動いている。
筆者は、公立中学校・高校で社会科の臨時的任用教員、非常勤講師として勤務した経験があるペーパーティーチャーだが、生徒の成長に携わることができる教員という仕事に大きな魅力があることは間違いない。生徒にとっても、生え抜きの教員とは異なる社会経験を交えた授業が受けられるメリットがある。
しかし、労働基準法が適用されない現行の制度では、民間企業とのワークライフバランスの差を解消できておらず、大きな課題が残されたままだ。
今後も教員不足が続く限り、各自治体が知恵を絞った独自のアイデアで新たな教員の担い手を発掘し、獲得競争にしのぎを削る構図が続きそうだ。
(注記のない写真:中野氏撮影)
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