教員不足で 「ペーパーティーチャー」争奪戦、各自治体が独自アイデアでしのぎを削る 長時間労働に懸念の声、登録してもらうには
神奈川県は、昨年度は3回実施し、のべ112人が参加、うち76人が臨時的任用教員・非常勤講師の登録をした。
「幅広い年齢層の参加者がいますが、最も多いのは40~50代の方で、60代以上の方も1割強います。登録相談会ではシニアの参加者から『若い子たちとやっていけるか不安』という声もありますが、『学校には多様な人材が必要なので、ぜひご経験を生かして教壇に立ってほしい』とお伝えしています。実際に社会人経験のある先生はたくさん活躍していますし、即戦力になっていただけると考えています」と、手応えをアピールする。
埼玉県では昨年度は9回実施し、のべ273人が参加、うち82人が今年4月から臨時的任用教員・非常勤講師として学校で勤務している。
「参加者は子育てがひと段落した30~50代の方が中心で、半数が民間企業にお勤めの方です。『自分に授業ができるのか』『子育てと仕事の両立ができるのか』などの不安を持たれていることが多いので、それらを払拭する内容にしています。具体的には昨年度から学校で実際に生徒が使用しているタブレットに触れていただくワークショップなどを設け、今年度からは現場の教員に直接話を聞けるパネルディスカッションも行うなど、参加者の声を生かして内容の充実を図っています。おかげさまで参加者も採用数も年々増加しています」と、内容を改善しながら成果を上げているという。
「長時間勤務は割に合わない」と厳しい声も
こうした取り組みは、教職に関心を持つペーパーティーチャー側からも好評だ。
神奈川県の講座に参加した高校地理歴史・公民の免許を持つ48歳男性(イベント関連企業勤務)は「内容はすごくよかった。自分が学生だった頃より学校現場がアップデートされていることがわかった。勤め先は副業を認めているので、タイミングが合えば講師としてお役に立てるかもしれない」と、その場で講師の登録を決めた。
埼玉県のセミナーに参加した中学国語の免許を持つ50歳女性(派遣社員)も「大学で教職課程を学んでからブランクがあるので、ちゃんと授業ができるか不安だった。でも、近年はデータベースで共有されている学習指導案を活用できることもわかり、怖がらずに飛び込んでみようと思えた」と、教員への転職に前向きになったと明かす。
一方で、参加者から教員の働き方があまり改善されていないという指摘もあった。
中高理科の免許を持つ26歳女性(ウェブデザイナー)は「熱意は伝わってきたが、まだ労働時間が長く、働き方として魅力的ではない。教員に転職するとしても今ではないと思った」と、登録相談会には参加せずに会場を後にした。
中学保健体育の免許を持つ30歳男性(医薬品企業勤務)も「全国転勤のある会社に勤めているが、子どもが生まれてから転勤に抵抗感があり、地元で働きたいと思って参加した。しかし、教員の実際の勤務時間は長く、思ったほど働き方が改善されていないと感じた。拘束時間を短くするか、残業代として給与に反映すべき。給特法改正で給与上乗せが10%になったとしても割に合わない」と、厳しい表情を浮かべた。


















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