【インタビュー】日産CTOが語る「商品を投入できなかった」後悔、「国内の研究開発はやめず」「エンジニアのコストを最適化する」

――例えば、国内では大型ミニバンの「エルグランド」は15年間フルモデルチェンジできていません。なぜ継続して新型車を投入できなかったのでしょうか?
それもやはり拡大戦略があったからだろう。
今に始まった話ではないが、日産は新興国などさまざまな地域に投資を振り向ける中で、もともと予定していた開発があったのに、何らかの事情で優先順位が変わってしまった。結果、市場の状況が変わってもすぐに巻き返しができず、今の状態になってしまった。
「エルグランド」も最初の頃は何代かモデルを投入し続けたが、その後は間が空いてしまった。そこを今、再び戻そうとしている(日産は2026年度に新型「エルグランド」を投入する計画を発表した)。
今年5月に経営再建計画「Re:Nissan」でも発表したように、コアモデル(収益を重視した既存モデル)の台数をしっかり稼ぐためにも、やはりハートビートモデル(日産を象徴する車種)や成長モデル(将来の成長に向けた新規車種)を継続して出していくというバランスが必要だ。
今後は、きちんと門構えを適正にしたうえで、商品の開発・投入をしっかりやっていく。
――日産の商品企画を担うプログラムダイレクター(PD)が収益性ばかりを重視して、商品が出なくなったということはありませんか?
まるでPDが商品を止めているように言われているが、ビジネスとして収益を担保しなければいけない。PDがどうこうではなく、会社としてしっかり収益を作ることが大事だ。
――「Re:Nissan」では国内外7工場の閉鎖や2万人の人員削減、部品種類の7割削減など5000億円のコスト削減目標を掲げました。
工場の閉鎖についてはまだ詳細は言えないが、門構えに合った稼働率や人員サイズにする必要がある。
変動費については、調達する部品1つ当たりのボリュームをもっと増やし効率化していきたい。車にはボディのカラーも複数あるし、仕様も、例えばシートの表皮だけでもさまざまな種類がある。これらを掛け算で作ると、ものすごい数になる。ただ、結果的に見ると、実はお客さんに選んでもらっていないものもある。
種類が多いと、物を作るうえでのロスや不効率が起きるし、物を保管する場所や管理コストも増えてしまう。部品の種類を減らしたほうが、われわれ完成車メーカーだけではなく、取引先も結果的にはコストを抑えつつ競争力が上がる。適正な種類にして、変動費を減らす活動を全社で行っている。
サプライヤーの生産が減らないようにする
――これまで日産は毎年の生産・販売目標が未達成に終わり、取引先のサプライヤーにそのしわ寄せがいくという状態が続いてきました。
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